2006年06月17日

6月16日物語 : 素晴らしい・・


昨日、中一の娘がまた本を借りてきた。

「うちにこの本ないよね?」

おお、なんと良い子に育ったのだろう。
それは私が買いたい買いたい欲しい欲しい欲しいぞと思っていた本。

こんな良書を図書室に置いておくなんて、 なんて素晴らしい中学校だろう。  受験した甲斐があったというもの。 でかしたぞ、海ちゃん。

オンライン書店ビーケーワン:ジョン・レノン全仕事

ジョン・レノン全仕事
ザ・ビートルズ・クラブ編集・著 / 斎藤 早苗監修
2001.6プロデュース・センター出版局


ビートルズやジョン・レノンに関する出版物は、 素晴らしいものからろくでもないものまで山ほどあって、 私が持っているものだけでも小さな本棚ひとつ埋まってしまうほど。  でも、20代で買い集めるのはもうやめていた。  
きりがないんだもの。
でもね、これは素晴らしいですよ。  
ずーっと悩んでいたの。 悩みつつ忘れるようにしてました。

私が中学生の頃には図書室にビートルズの本なんてあまり置いてなかったと思う。
ジョンレノン詩集とかビートルズ詩集とかがあったかな。
よく学校の先生にビートルズの海賊版のアルバムを貸してあげたっけ(えらそう)。

この本の何が素晴らしいかというと、 私でさえ知らない(私はナニサマでしょう・・)ジョンの写真が載っているところ。
それと、ジョンのギター奏法の分析をしているページ。 
ほんの少しのページなんですが、 楽譜もちょこっとついていて、 つきこさんはとーっても嬉しい。

例えば

《I Feel Fine》

・・キャッチャーなギター・リフとはこういうものだというお手本のような曲。
レコーディングではギブソンJ−160Eをアンプに通して使用した。
基本的にはR&Rのスリーコードの展開だが、 セブンス・コードのフォームを維持したまま小指で4度や9度の音を加えるというのはジョンの得意とするプレイだ。
ややハネ気味のタイム感にも注目。

で、その下にはTAB譜が少々ついている。

きゃあ、もう買う !!

あ、すみません、興奮して。
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2005年10月09日

10月9日物語 : Happy Birthday


今日は私の愛する人の誕生日。

一日、 彼の歌を聴く。

一日中、 彼の声を聴く。

ビートルズのアルバムを発表順ではなく録音順に全て聴く。 

ビートルズが現役時代に発表した作品を、ジョンのボーカル以外は、とばして聴く。

それから、解散後のジョンのアルバムを全部聴く。

Happy Birthday!

生きていれば、65歳なのね。


小学校3年生の時に、 近所に住んでいた大学生の男の子がビートルズを聴かせてくれた。

一発で、どうしようもなく ぐっときてしまった。

正真正銘のガキンチョのくせに、心臓がきゅんきゅんきゅーんとしてしまったのだ。


その大学生の男の子のところに入り浸るようにして聞かせて貰った。

ある日 私が、 この曲のこの声と、この曲のこの声と、この声とこの声と・・が好きだ、と彼に伝えると、 彼は驚いた。

「つきちゃん、すごい! つきちゃんが好きなのは全部 ジョン・レノンという人の声だよ。」

「ジョン・レノン?」

「この人だよ。」 と彼はアルバムの写真を指差した。 

「こっちのアルバムではこの人。 それからこの中ではこの人。」


大人の言葉で言えば、その瞬間私は 恋に落ちた。


好きな人の言語を理解したいと思うのは当然だ。 当然の成り行きで私は母にねだって 英語を習いに行かせてもらった。
 

その後、当然の成り行きで、アビーロードにも行き、リバプールにも行き、 キャバーン跡地で記念写真。
 

ビートルズファンなら、このくらいのことをした人は山ほどいると思う。


しかし、これは滅多に居ないと思う。 

私の執念はよっぽど強かったのだろう。 

ジョン・レノン と 会えたのだ。

それも まわりに誰も居ず、二人きりで話した。

ただし、それは10分くらいの出来事だった。 いや、もしかしたら2分くらいだったのかもしれない。  

ジョンが被っていたハンティング帽を脱いで私にくれようとしたその時・・・

ヨーコさんが現れた。

すると、ジョンは帽子をすっと被りなおし、ヨーコさんに腕をとられて去ってしまった。

でもなんども振り向いてくれたもん。 手も振ってくれたもん。
 

私はボロボロと涙をこぼしながら、呆然と立ちつくしていた。  立っているのに腰が抜けてしまった状態だ。  ジョンとヨーコが視界から消えてもしばらく動けなかった。


そして、 「ジョン、頭のてっぺんあたり、髪がずいぶん薄いんだな・・」 などとアホなことを思っていた。


帽子がもらえなかった腹いせではないが、 そのホテルには VIPフロアがあり (ジョンがフロアごと借りていたのだが)、 そこには当然、一般客はもちろん特別に選ばれたホテルの従業員しか行けない(行ってはいけない) のだが、 私はジョンたちの留守の間にそのフロアに行かせてもらった。


そして、広い廊下に置いてあるいくつかのスタンド式の灰皿から ジョンの吸殻をいただいてきた。ジョンもヨーコもジタンを吸っていたのだが、 口紅のついてないほうを頂戴しました。


生まれたばかりの愛息ショーン君を抱いた老年の女性 (ヨーコのお母さんだったのかなあ) とお話し、 ショーン君を触らせてもらった。 


ジョンが朝食の時に使った使用済みの割り箸を、ジョン・レノン様 朝食配膳担当に選ばれた従業員が、こっそりポケットに忍ばせて私に渡してくれた。


ジョンは実は玉子かけご飯が好きなのだ。
  

普通の欧米人はなま卵など決して食べない。  スキヤキは食べてもなま卵に肉や野菜をつけたりしては食べない。

そんなこと目の前でしたら、 口を押さえて目は点になり、 「先進国の仲間だと思っていたが、やっぱり日本人は未開の地の野蛮な人種だったのだ。」 と確信され、その後の付き合いがなんとなくギスギスしてしまうことになる。


だけどジョン・レノンは なま玉子をぱかっと割り醤油を大量にかけ、箸でぐるぐるかき回し温かい白いご飯の上にだーっとかけ、ずるずると食べてしまう。


そして割り箸が入っていた箸袋は、あの女の子がよくやる・・ん〜、なんと説明すればいいんだ、あれは。  箸袋を結び目を作るようにたたんで箸置きみたいにするやつ・・ね、あれ。
ああいうふうにきちんとたたむのだ。

それを毎朝食ごとにきちんとやる。  だから私はその玉子醤油味の染みた割り箸と、きれいに畳まれた箸袋を何組か手に入れることができた。


当然の成り行きとして、 私は割り箸を舐めました。


今思うと、私のジョン・レノンに対する怨念、いや執念は 周りのちょっと年上の友人達に広く深く知られていたのだなあ。

こんな小娘のために、見つかれば職を失うかもしれない危険を冒して、どうにかしてジョン・レノンに近づけさせようと頑張ってくれて、本当に感謝、感謝。


私がジョンと話せた翌々日の某スポーツ新聞には大きく

「スクープ! ジョン・レノンがお忍びで日本に居た!!」 と出ていました。


ジョン・レノンが撃たれたその時刻、 何年もの間、壁に貼ってあったジョンのポスターがはらりと落ちたのは、 私の片思いの執念のなせる業だったのかもしれません。


翌朝、ニュースを知った私は倒れて一週間起き上がれなかった。

その間、私がジョンの後を追って死ぬのではないかと心配した大勢の友人、知人から電話がひっきりなしにかかり、私はほとんど会話不能状態だったため、 母がメモにその友人達の名前と連絡先を書きとめておいてくれました。

あとからそのメモを見ると、知らない名前がいっぱいありました。 

会員でもない連絡も取ったことのないビートルズのファンクラブの会長やジョン・レノンのファンクラブの会長からも電話があったらしくその連絡先も書いてあり、 私はとっても不思議でした。

失語状態から脱し、 連絡を下さった人々に電話をすると、 お悔やみを言われたりして、 余計に首をかしげたものです。


私は、ジョン・レノンが好きだ〜 というオーラを全身から発しながら生きていたのでしょうか・・。


あ、本の紹介。

ビートルズやジョンに関する本は星の数ほどあります。 (星の数は言い過ぎね。)

最近、愛読している一冊を。 

これがビートルズだ  中山康樹 著。 − 講談社現代新書

ビートルズが残した全公式曲(現役時代に発表したもの) 213曲について全てを 録音された順番に深い愛情と独断をもって評しているものです。 

「好き好き、かっこいい、たまらない! どうしてくれるんだ〜。」 という気持ちが溢れんばかりです。


私は気持ちが良いものをただただうっとりと気持ち良がって聴いているだけのファンだったので、こんなに細かく感想を持った上に 読ませる文を書ける筆者に脱帽。
 
ただビートルズファンの数だけ感じ方、聞き方、愛情の持ち方の数はあるので、全ての感想に、うんうんとうなずけるわけではないです。

私は9割くらいは、うんうんとうなずいて読めましたが。 文章がおもしろくてつい釣られて、うんうん。


例えば、Baby It’s You という曲については、こんな感じです。


・・・ 0分28秒、 1分13秒に出るジョンの 「オッオー」 は 必殺だ。 これだけせつなく、 甘く、 なおかつ世間を徹底的にナメきった声(合いの手というべきか) は 1963年2月11日以前の地球上には絶対に存在していなかった。

うんうん。

これを読みながら聴くとさらにビートルズを楽しめると思います。


ジョン・レノンが好きだ〜!

オンライン書店ビーケーワン:これがビートルズだ
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2005年08月29日

8月28日物語 : No Reply


やること いっぱいだな。 
 
庭の木に防虫剤をかけなくちゃ。 昨日、隣の人から言われてしまった。

「去年みたいに毛虫を出さないで下さいね。 それから、枝、少し伸びすぎてやいませんか。」

冷蔵庫の中の賞味期限が切れそうな 豆腐と肉と、買いすぎてしまったトマトを今日中に何とかしなくちゃ。 

牛乳と卵を買ってこなくては。  歯ブラシの買い置きも切れてるし、 シャンプーも もうすぐなくなる。
 
その前に 干していた洗濯物を取り込まなくちゃ。

回覧板を回してこなくちゃな、 子供たちの学校に提出する書類も書き込んで、 あ、税金の支払いはいつまでだっけ。  

電話に 変な ザーザーする雑音が入るし、 たまに混線するのか、 知らない会話が聞こえてくるから、 修理してもらわなくては。   

それから、海ちゃんのパジャマのボタンが取れていたのを探してつけなくてはね。
 
パジャマ! 家庭科の夏休みの宿題! ズボンがまだだった〜。  
あ、 ケイコに借りていた古文のノートを今日、返しに行くって約束していたんだ、 今、何時だろう。 

それと、 えっちゃんに貸していた、ライ麦畑でつかまえて の本、 返してもらわなくちゃなー。  あれならば、感想文の宿題、楽勝よね。

えっちゃんちに行ったら、 ビートルズの No Replyの EPレコードも 返してもらおう。 カセットに入れたらすぐ返すって言ってたくせに。  

絵日記は どうしよう、 7月までしか書いてないよ〜う。  ひまわりの観察日記は、誰に写させてもらおう・・。 水をやり忘れて、 もう枯れちゃったよ。

小学校のプール教室をずる休みしたことが、お母さんにばれないように、水着とバスタオルを濡らしておかなくちゃね。
この間は、 水着しか濡らしておかなかったから 嘘がばれてしまった。

プール教室なんて、 つきこ、嫌い。  浮き輪でぷかぷかしてるだけが好きなのに。

お風呂場で水着とバスタオルを濡らしてこよう。  お風呂も洗っておくように言われていたんだっけ。



なんで?

お風呂の蓋を外すと、水はたっぷりで黒ずんでいた。 

上のほうが黒っぽく濁っている。 下のほうは、もっと暗い色をしている。

なに?

よおく目を凝らして見た。

砂だ。 

黒い砂が 浴槽いっぱいに溜まっている。

汲み桶を入れてみるとすぐに ずん と重たい砂に当たった。

どうしよう。 

どうやって、お風呂を洗おう。

水にたっぷり浸かった砂は、桶では 重たくて すくえなかった。

 
ひとつかみ 砂を手で握ってみると、指の間から ほとんどがこぼれてしまう。  

どうしよう。 どうしよう。 どうしたらいいの?

電話が鳴る。

「おかあさん・・!」

「プールは(ザー)の? ひまわりは生き返らせたの? 感想文 (ザーザーザー)の?」

「え?、 おかあさん、 あのね・・」

「お風呂は洗ったの?  防虫剤は撒いたの? パジャマは作ったの? 税金の支払いは(ザーザーザー) 子供の学校の書類は書い(ザーザー)」

「おかあさん お風呂が・・」

「つきこ、 あのレコード、 返せない。」

「え、えっちゃんなの?」

「だって、 ジョンレノンが死んじゃったから、 もう (ザーザーザー)でしょ?」

「ジョンは死んでないよ、 何、言ってるの?」

「つきこが、 ジョンレノンのポスターを、 (ザー)れて、落ちてきたのを直さずに (ザーザー) ったでしょ?  だから、ジョンは死んじゃったんだよ。」

そうだ。 その日だった。

「ジョンレ(ザーザー)は、 玉子かけご飯が好物だなんて、 つきこが嘘をつくからよ。 殺され (ザー)。」

「嘘なんかじゃないよ。 ジョンに割り箸をもらったんだから。  ちゃんと玉子かけご飯の味が染みてて、 私、 舐めたから 本当なんだってば。 割り箸、うちにあるの見せたでしょ?」

「それからね、 ライ麦畑ね、 ジョンを殺した犯人が(ザーザーザー)。  犯人と同じ本が(ザーザー)、いったいどう(ザーザー)? つきこのせい(ザー)」

「殺された? 嘘! 私のせいじゃない。 私のせいなの・・・? 私のせいじゃない。 ジョンは死んでない。 ジョンは死んだりしないよ。」

「だから、 お風呂はね。」

「え?」

「あの砂の ひと粒ひと粒が、つきこの罪。 いつまでもいつまでも、汲み出していなさい。 いつまでも  いつま(ザーー) いつまで(ザー)」

「えっちゃん? えっちゃん! もしもし えっちゃん!」




「お母さん、起きて! 起きて! どうしたの? 怖い夢見たの?」

「あ、 海ちゃん。」

「大きな声で泣いてたよ、 お母さん。」

「お風呂に砂がいっぱいなの、 どうしよう、海ちゃん。」

「俺が見てきてあげるから!。」

空が、風呂場まで走って行く。

「お母さん、 砂なんかなかったよ。 ほら。ね!」

濡れた手で私の頬を触る。

夢・・・?

「お母さん、 夢見たの? 怖い夢?」


「うん。 夢。  でも、 ジョンレノンは・・・  死んじゃったんだよね。」

「うん。 昔々ね。」



夢は、 (記憶の整理) なんだそうです。

見たもの 聞いたもの 触れた感触、経験した感情の全てを記憶していたら、 人間は精神が壊れてしまうから、 不必要なものは 記憶の奥底に眠らせてしまうそうです。

それが 時々 マゼコゼになって おかしな夢になって現われる。

夢の中で、記憶の整理整頓をして、 現実を 生き抜く。

そんなことを、 養老猛 の本で読んだけれど。

そうかしら?  夢 は かえって私を混乱させます。

夢は、 返事をしてくれません。


*  No Reply は 1964年9月30日 アルバム (ビートルズ・フォー・セール)の為に録音されました。
This happened once before・・ と前奏なしで当時23歳のジョンの声からいきなり始まる曲です。

ライ麦畑でつかまえて
J.D.サリンジャー〔著〕 / 野崎 孝訳
白水社 (1984.5)
通常24時間以内に発送します。


ライ麦畑でつかまえて は、好きな本だったのに・・。  
ジョン・レノンファンには辛い本になってしまいました。






 

 
posted by tsukikohime at 07:09| Comment(0) | TrackBack(0) | John Lennon and The Beatles | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする