2007年05月13日

5月13日物語U : こうちゃん

11日(金)のズームインスーパーを見て
こうちゃんの存在を知った空くんが
こうちゃんのブログ(←クリックで飛びます)内の料理を作ってくれました。
材料も自腹で買ってきてごそごそとキッチンで。
パソコンを見ながら。
母の日のプレゼントだそうで。

先日の高校の家庭まかせの家庭科の宿題(記事に飛びます) のおかげで、ちょっと料理に興味を持ったようです。

4月1日(日)の 春雨の明太マヨサラダ 
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4月15日(日)の ホタテのバター醤油炊き込みご飯 を作ってくれました。

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こうちゃんのレシピを覗いてみると、こうちゃんは若いからなのか
ちょっと味付けが我が家には濃すぎるので、
ホタテの炊き込みに入れるめんつゆを5分の1ほどに
したほうがいいよーと空くんに伝えました。

海ちゃんにはカーネーションをもらいました。

へへ。 母嬉し。

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こうちゃんのブログはあまりの人気で
料理本になりました。 
相田幸二著  宝島社 027643130000.jpg

            
          



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2006年08月14日

8月14日物語U : セックスボランティア


友人が、「読んでみる?」 と貸してくれました。
ああ、このタイトル聞いたことがある、 「セックスボランティア」。 
障害者のセックスについて、とは聞いた気がするけれど、 ボランティア? どういうことだろう。

オンライン書店ビーケーワン:セックスボランティア

セックスボランティア  河合 香織著  2004.6  新潮社



住んでいる町の図書館からの依頼でときどき目の不自由な方のその目の代わりになって本を読むということをしているので、 視覚障害者の方と接することはあります。  その方がリクエストされる本や、 たとえば相手が大学の学生だったら、試験前にテキストや資料を読むといったことです。 
行政からの助成もわずかみたいで、 時給は多分200円とか300円くらいなのかな。  交通費も出ないし、一年分、まとめて振り込まれるので時給に換算したことがなく明細も確認したことがなくよくわからないけれど。
額が少ないのは、それは「ボランティア」という名目だからです。

目の不自由な方にどう接するか、 などということは全く学んだことはなく、 学ぼうと思ったこともなく、 会えば、 ただ世間話をして本を読むだけです。
だから、想像力が欠けていたり、認識不足のせいでおかしなことをやってしまいます。 
そういう時は、「あ、ごめんなさい!」 です。 そうして次から気をつけます。 

たまに、 ボランティアという名のせいで、 何か感心する人がいますが、違うんです。  
ただひたすら本を読みたいだけなんです。  本というか活字。
いわゆる活字中毒。
自分で本を選ぶと、 やっぱり傾向が偏るんですよね。
だから、 無理やり押し付けられるというか、 自分では決して手に取らなかったものを読む羽目になるこの状況が嬉しいのです。
そして、 相手に聞き苦しくないようにきちんと声に出して読むという行為は、 口の周りの筋肉が鍛えられて実は美容にもいいのです。  
その上、 出掛けるのが億劫だけれども、 手元に読む本が少なくて本を仕入れたい時に、 (ついでに)よいしょっと図書館に行く用事ができるので便利です。
このようにまったくもって自分の利益の為にやっております。 
だから「ボランティア」ではないのです。


まったくこの本の説明になってません。


身体や脳のハンディキャップのせいで、 健常者が想像も出来ないような苦労を、 「性欲の処理」 や 「セックスの仕方」 や 「障害者の性に対する世間の偏見」 などの場面で背負っていることが書いてあります。

手が不自由で自慰も介助してもらうとか、 第三者の手を借りて結合させてもらうとか、 とにかく読んでみればわかりますが、 無責任な言い方だな、 しかし、 だって技術的には、 健常者には想像もつかないことばかりだったんだもの。
そういった介助を無償でする場合、 有償でする場合。 

身体が自分の思うように動かないから、 困ってしまう、辛い。  トイレや入浴や歩行や食事といったものなら介助するほうもされるほうも受け入れやすいけれど、 セックスのこととなると、 身障者も言い出しにくいし、 健常者も 「障害者には性欲がないはず」ということで、 目を背けたがる。
「障害者」であることは逃げられなくて気持ち的に負の部分はそりゃああるけれど、 なんていったらいいのかなあ、 性欲がある、 セックスしたい時もある、 自分でしたい時もある、 愛情が欲しい、 恋人が欲しい、 抱き合ってぬくもりがほしい、 結婚したい、 子の親になってみたい・・・、 そういう感情ね、 それは障害者も健常者もおんなじなわけで。


う、 だめだ。 頭がまとまらない。

読んで知ることに価値はあったけれど、 たぶんね、「ボランティア」 という言葉がひじょうに嫌いなんだな。  とても抵抗感ある言葉です。
不思議ね、言葉って。  おんなじ単語でも人によって感じるイメージや思い込みや思い入れが違うんだものね。

それにやはり難しい問題です。
セックスはとても個人的なことだし、 本の中に 「川で溺れている人がいたら助けるのと同じ」 と言うオランダの人がいたけれど、 それとは違うでしょと思いました。 お年寄りや妊婦さんに席を譲るといった行為ともまた違うのだし。

帯に、 「障害者であっても性欲があるのはごく自然のこと。 しかし、それは、見てはいけない、 触れてはいけないこととされてきた。  障害者は性的存在ではいられないのか?」 と問題提起するかのように書いてありましたが、
身近に性の問題で悩んでいるであろう障害者の方と接する機会がない限り、 また自分がその立場になってみない限り、 身につまされてみなければ深く真剣に考えることはできないです、私。
 







 
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2006年07月17日

7月16日物語U : 免疫力をアップしましょ

 

                      2匹の亀

いますぐ逢いたいの。

週末だしこの時間からでは “亀のホテル” しか部屋が取れませんが良いですか?

“亀さんのホテル” に行きます。 タクシーで20分位で着きます。

わかりました。 

亀さんがいる入り口ではなく正面玄関に車を着けてもらうと、 あなたはロビーで出迎えてくれた。

急にどうしたのですか?

本を読んでいたら、 どうしてもあなたに話したいことができてしまって、 それで。

どんなことですか?

はい。 あの、 部屋に入ってから。 

でも、 どうでもよくなってきた。
部屋に入るとワインが用意してあって、 あなたの肩越しの窓の外には都庁がそびえ立っていて、 遠く西の空が見えていて、 あなたは微笑んでいて、 そして私は本当にどうでもよくなってきた。

ちょこっと都庁

赤だけれどもね、 グラスは冷やしておきました。

ありがとう。

話したいことってなんだろう。

はい、あの、 つまらないこと。  ううん。 でも、大事なこと。

なあに?

えーと、 健康のことです。

健康?

やさしい笑顔だけれど少し驚いたような顔をするものだから恥ずかしくなってしまう。

膵臓がね、 時々痛むって言ってたでしょう?

スイゾウ?  ああ、 はい。 

油物。 油物、 控えてほしいなって。

気をつけているんですけどね、なかなか。

それからね、 牛乳。

牛乳?

牛乳やチーズやヨーグルトや乳製品、 好きでしょ。

良くないの?

良くないんですって。

乳製品なんて、 カラダに良さそうだけれども。

私もそう思っていたのだけれども、 膵臓だけでなくて胃や腸にすごく悪いそうです。

牛乳にはカルシウムがいっぱいあるし、 大きくなれるからって言われて子供の頃からずっと飲み続けていたけれど、 どうして良くないの? 不思議だな。

“牛乳神話” みたいなのありましたよね。 骨粗鬆症にも良いって私も思ってたのだけれども。

つきこさん、 いったい何の本を読んだのですか?

え・・、 これです。  

わー、どうしよう。  気を悪くしてないかな。
私はバックから取り出してあのひとに一冊の本を渡した。

健康に関する本を読んで、 あのひとに言わなくちゃとあわてて連絡してこうして逢えたけれど、 こんなのきっと笑われちゃう。  
グラスを持ってベッドに腰掛けると、 あのひとは窓際の椅子に腰掛けて受け取った本を開いてくれた。

なんかわたしったらばかみたい・・・だったかな。

あのう、 シャワーを浴びてきます。

あ、どうぞ。

ひどくひどく後悔の気持ちがいっぱい。 
“健康” の話題ってなんだかね、 色っぽくないもの。  
でも、とても心配なの。 
わたしはあなたのそばであなたの健康の管理をしてあげれないんだもの。
食生活のチェックもできないし。  でもずっと元気でいてもらってずっとあなたとこうして逢える日が続いてほしい。

シャワーなのにのぼせてしまうほど浴びて、 髪まで洗って、 バスタオルを巻いて窓際のあなたのところに戻ったけれど、 あなたはうつむいてまだ本を開いていた。 
腰掛けている足の間にぐりぐりカラダを入れてひざまずいて、 ひざの間からあなたを見上げて一気にしゃべった。  あなたの反応が怖くて。

あのね、 これを書いた医師ってね、 全米ナンバーワンの胃腸内視鏡外科医でね、 米国ではダステイン・ホフマンやスティングやロック・ハドソンなんかを診療していてね、 日本でも中曽根康弘や渡邉恒雄や江崎玲於奈や野村克也や牛尾治朗や竹下景子や津川雅彦など、 各界の名だたる人たちから、 厚い信頼を得ている、 もうこの分野では世界的権威の人なんだそうなの。  
読んでびっくりしちゃったの。  今まで健康に良いと思ってやってきたことが根底からひっくり返ってしまうようなことがいっぱい書いてあって、 マーガリンなんか今すぐ冷蔵庫から出して捨てなさいとか、 胃薬がどんなに胃に悪いかとか、 チャップリンが73歳でどうして子供をつくれたのかとか。  

つきこさん。

つまりはどうやって免疫力をアップさせるかということで。 

つきこさん。

牛乳がカラダに悪いなんて、目からうろこで。

つきこさん。

はい。

ありがとう。

あ、はい。

つきこさん、 読みながら居ても立ってもいられなくなったのですね。

・・・はい。 

嬉しいですよ。  最後まで読まずにあわてて連絡してくれたのですね。
  
あなたはわたしを抱き上げてその膝の上に座らせてくれた。

つきこさん、 ほら、 ここ、 まだ読んでないでしょ?

え?

あなたはわたしの手を取るとわたしの指を最後の章のうしろからふたつめのタイトルのところに運んだ。

そこには “「愛」 は免疫力を活性化させる” と書いてあり、 あら、そこまではまだ読んでないわと思ってのぞきこもうとしたら。
  
あなたは わたしを抱いたまま立ち上がり 「さあ、 免疫力を活性化しましょう」 と言ってスタンドの灯りを消してしまうので本が見れなくなってしまったのだけれども。 

もう、 そんなの。
そんなの。  本なんてもうどうでもいいわ!

オンライン書店ビーケーワン:病気にならない生き方

病気にならない生き方  新谷 弘実(しんやひろみ) 2005.7  サンマーク出版
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2006年06月30日

6月30日物語 : らっきょうとブログ


昼までレンラクなければらっきょう

カレンダーの6月30日のところに私の字でそう書いてある。

いつ書いたのだろう。  カレンダーが6月になってから首をかしげている。
意味不明だ。  何か要約しすぎではないか?
このカレンダーを手に入れた去年の暮れに書き込んだのだろうか。

そしてついにその6月30日になってしまった。

午前中いつものように掃除や洗濯をしながら 「レンラク」 とやらを少し期待しながら待っていたけれど、誰からもレンラクはなくお昼になってしまった。

なので、
財布を持って八百屋に行き、 土らっきょう1sを買い求めた。
途中携帯も鳴らなかったし、家に戻っても留守電も入っていない。

季節はらっきょう。
というか、らっきょうの時期。

土らっきょうをたっぷりの水に放ちゴリゴリと洗った。
土が落ちるまで何度も水を変えすすぐ。
きれいになったらっきょうのひげ根をちぎり先端を切り、少し硬めの皮をこすりながらはがす。
けっこう時間のかかる作業で、 猿の手も借りたいとちょっと思った。
猿はなんだか皮をはがすのが得意そうに思うのだが、 きっとどこまでも剥き続けて皮だけが山盛りになってしまうだろう。

さて、このあとは・・と。

オンライン書店ビーケーワン:村上さんちは毎日手作り

村上さんちは毎日手作り  村上 昭子著 / 杵島 直美著  学研

この本がないと思い出せないの。
季節の漬物って。

うーん、 塩漬けにしようか、 甘酢漬けにしようか。

塩漬けだと2ヶ月くらい保存でき、 甘酢漬けだと1年くらい保存できます。
今日は甘酢にして来週あたり塩漬けを作ろうか。
カレンダーの7月7日のところに書いておこう。  「暇なら塩漬け」


少し前から7月が来る、 7月が来る、 どうしようと思っていた。

1年前の7月6日。 本屋で ブログ入門と書かれた本を見つけた。
ブログ?
ブログって、聞いたことあるけれどよくわからない、なんだろう、とその本を買い、夜読んで、へー、あーそう、こんな感じ、ふーん、どれどれ実践してみようと某ブログサイトで翌日の7月7日から始めてみた。
 
何を書こうかな、読んだ本のことでも書こうかな、なんて。  
あれ、できちゃった。 と思ったけれど相性が悪かったのか操作ミスを何度かしたので、1週間後にSeesaaにお引越し。
しっかり計画を建てずにいきなり始めたので、(記事色)とか (らしさ)が不安定。 
メインタイトルの「株」もどっかいっちゃったし。 UPしながらもまごまご。


そうこうするうちに1日の訪問者が、50人になり100人になり200人になり300人になり・・・で、まさかこんなに続くことを始めたと思っていなかったのにもうすぐ1年です。
遊びに来てくれる人がたくさんいるんだぁ、嬉しい! が支えになりました。
皆さま、ありがとうございます。

                    オンライン書店ビーケーワン:超簡単!ブログ入門

           超簡単!ブログ入門  増田 真樹〔著〕  角川書店

           写真ないみたい ↑

7月が来る、7月が来る、どうしようと思ったのはですね、 ほら、記事タイトルに毎回 
「○月○日物語」 ってつけていたでしょ。 
同じ7月がめぐってきちゃって、 去年のだか今年のだか区別がつきにくくなってしまうでしょ。 
1年後のことなど頭になかったから、 そんなことになっちゃったの。 へへっ!

・・・どうしよう。

しかし、 「レンラク」 ってなんのことだろう?
ま、いいや、 「レンラク」 がどこからもなかったおかげで、 らっきょうを漬けられたんだし!

相変わらず 「計画性」 とは無縁のつきこさんだなあ。
今後ともどうぞよろしくお願い致します。  ぺこり。
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2005年11月11日

11月10日物語 : 小春日和


小春日和っていうんでしょうか。  欧米流に言いますとインディアン・サマーですね。 

東京では月曜からもう4日も続いています。  毎晩月がきれいですね。

こんなに暖かいとムラムラするじゃあありませんか。  私は初日からムラムラし出して来ました。

これをすっきりさせないとカラダに悪い。


まずオクテな自分を奮い立たせるために アレを出してきます。  想像力豊かな私は、アレを手に取るだけで パーっと、恥ずかしさが体中に満ちて、ムラムラ感が押し寄せてきます。

アレはどこにいった?  いつも目に付くところに出しておくと、始終羞恥心と戦わなければならなくて、私は身が持ちません。

たまにだからイイのです。

あった。  私ったらここに隠してたのね。

やだ、埃かぶっちゃってるわ。

手に取っただけでドキドキしてしまいます。


山崎えり子 の 道具はこれっきり! すっきりキッチン節約術 と 節約生活のススメ

ゴ××リがうろつくような 不衛生で足の踏み場もなく調理するスーペースもないようなキッチンでも平気で暮らしていたような女性が、 婚約者が突然の交通事故で下肢に障害をもつ身になったことで、超節約家、超きれい好きに変わりました。


婚約者の退院後、 ふたりは結婚しましたが、彼は車椅子で生活をしなくてはなりません。

狭い集合住宅で夫が車椅子でも自由に動き回れるようにと、どんどこモノを処分しました。

あれもこれも捨て、 代用できるものはひとつで済ませようと、どんどこ捨てます。

モノだけでなく水道光熱費や食費や雑費なども、どんどこ削ります。

無駄なものはどんどこ削りに削り、捨てまくり、節約に命を燃やし、 600万円ほど貯めて中古のマンションを買いました。 

月給手取り34万円で、 2000万円の借金を35年で契約しましたが、 節約しまくり 7年で返済してしまったそうです。


さて、 どんな暮らしぶりだったのでしょうか。

具体的な節約の仕方と、 モノの捨て方と、 少ないモノでどうやって暮らすかが丁寧に書いてあります。  写真も出ています。

まずモノを捨てまくり、部屋を広くします。  それから、 あとはモノをできるだけ買わなければいいのです。 


石鹸は廃油で手作りです。 
麺類はもちろん自分で作りますが、ゆで汁はお茶碗を洗うのに使ったり、洗顔や床掃除に使います。
余れば自家栽培野菜のプランターの水やりに使います。 
それでも余ればペットボトルにとっておきます。  米のとぎ汁も同様にペットボトルにとっておきます。


使った割り箸で 炭を作って飲料水の浄化財として利用します。

ミカンの皮で 蚊取り線香を作ったり、 髪のセットローションを作ったりします。

場所を取るような大皿は捨て、 お客様がいらっしゃった時などには、 オーブントースターのトレイや、まな板をアルミホイルで覆って使うそうです。


写真を見ると 食器は 急須ひとつ、 湯のみ茶碗ふたつ、 お椀ふたつ、 ラーメンどんぶりふたつ、 中皿4枚、 小皿2枚 だけのようです。 ご飯茶碗は見当たりません。
多分、どんぶりか中皿で兼用するのでしょう。

それらの少数の食器は流しについている引き出し一段だけで充分しまえます。 

だから山崎さんちには、 食器戸棚さえ見当たりません。


鍋だって、最小限です。

ヤカンを蒸し器代わりに使ったり、 スパゲッティを茹でたりするのに使います。 

クッキーの型抜きだってヤカンのふたでいいそうです。

代用と兼用です。

道具が少ないので、 すっきり清潔なキッチンです。

キリがないのであとは読んでいただくしかないのですが、 私はこれを読んで、 恥ずかしがります。  

キッチンを見渡し、 リビングを見渡し、 居室を風呂場をトイレを見、 あらためて恥ずかしがります。

なんて無駄なものばかり。  

なんて雑多なごちゃごちゃした家だろう。

山崎さんちを見て、あなたは恥ずかしくないの、 つきこ?   同じ主婦でしょ!

さあ、始めるのよ!!

捨てよう

数ヶ月前にもやったはずなのに、 なぜこんなに捨てるものがあるのかわからないけど捨てよう

山崎流節約のほうは根性なしの私には、 いや、性分としてもストレスの原因になるから目をつぶろう。

節約のページは飛ばします。


タンスを開け、 倉庫を開け、 引き出しを開け、 扉を開け、 恥ずかしがりながら捨てていきます。

「あー、 なんでこんなものを後生大事に私ったら。」 と恥ずかしがりながら。

「こんな役に立たないものやら、ずっと使わなかったものに空間を奪われていたなんて。」


捨てまくると空間が生まれます。 そこには埃やゴミやら溜まっています。 時には乾燥した蚊の死骸なんかも出てきます。 

恥ずかしい。

米のとぎ汁は使わないけれど 水拭き、乾拭き掃除をします。 フローリングにワックスをかけます。

掃除をしまくるとカーテンの汚れが気になります。  そこで家中のカーテンを洗います。

カーテンが掛かっている窓は我が家には15箇所ありました。  全部はずして4日間かけてレースも厚手も洗いました。

窓を磨きます。 カーテンレールをきれいにします。

そうやってこの4日間、 狂ったように、 捨てることと整理することと掃除することに体力を使いました。   一日の平均睡眠時間は約3時間でした。


山崎さん宅の写真と見比べてみると、30センチだけ近づけたかなと思いました。

(だって ご飯茶碗でご飯を食べたいし、 美しい器のおかげで、私の粗末な料理だって映えるんだもん。) 

遠くて見えませんが、 山崎さんは1キロ先で笑っているようです。


山崎さん、 また数ヶ月後にお会いしましょう。 

オンライン書店ビーケーワン:道具はこれっきり!すっきりキッチン節約術

節約生活のススメ
山崎 えり子著
飛鳥新社 (1998.10)
通常2-3日以内に発送します。
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2005年09月24日

9月23日物語 : 世にも・・


普段ほとんど見ないテレビなど見てしまったからいけないのだ。 

テレビなんて 食べ物のCMばかり流す悪魔だ。

「なんか、このゲーム飽きたなー。 つまんないよ。」

「つまんないものやってないで、止めればいいじゃないの。」

「ああ。」

ゲームを止めて普通のテレビに変えた恭一が、あれーという素っ頓狂な声を出す。

「チャンネルが変わんないよ。 あれー、あれー?」

「電池がもうないんじゃないの。 一回電池取り出してもう一度入れなおすとまだ使えることがあるわよ。」

「ここ何日かずーっとそれやってるよ。」

「新しいの出したら?」

電池の買い置きが置いてある場所を指差すと、恭一はそこを探し出した。

「ないよー。」

「あるでしょ。」

「ないよー、 単4電池だよ。」

「あら、本当?」

探してみたが確かに単3と単1の電池しかない。

電池はテレビが置いてある横の棚の引き出しに買い置きを置いてある為、引き出しを閉めながら自然とテレビの画面を見ることになってしまった。

「ふーん、 スキムミルクダイエットだって。 色んなダイエットがあるのね。」

中腰の姿勢が辛くなったので恭一の横に腰をおろす。 最近、長く立っているととても辛い。

「ダイエットなんか、だめだよ。」 恭一がぼそっと言う。

「うん。 でもほら、 カルシウムが牛乳よりずっと取れるって言ってる。 カルシウムを取るのはいいことじゃない。 女性は男性よりずっとカルシウムが必要なのよ。」

「それは、子供を生む前の若い女性のことじゃないの?」

「何言ってるのよ、子供をお腹の中で育てたり母乳をあげたりしてカルシウムを大量に使った女性はその後もどんどん取らないと ”骨粗しょう症” になっちゃうのよ。 男性よりずーっと骨粗しょう症になりやすいんだから。 あ、書くもの取って。」

女子アナが説明するスキムミルクダイエットの為のレシピを書き留める。

「一日1100mg のカルシウムが必要なんだって。 えー、それには、スキムミルク100gと40gのヨーグルトを・・・。 スキムミルク100gってけっこうな量ねえ。 それを毎日取るの? 相当、買ってこなくちゃならないわ。」

「あーあ、お母さん、あのモニターの人たち、あんなに体重減っちゃってるよ、 やっちゃだめだよ。」

あれで痩せたつもり?  可笑しくなってしまう。

「でも、『美味しい!』って 試食してるゲストの人たちも絶賛してる。 お母さんは、他にばしばし脂っこいものとか食べれば大丈夫よ。 ふーん、牛乳でヨーグルトを作ることはたまにあるけど、なるほど牛乳の代わりにスキムミルクねえ。」

「ねえ、やめなよ。 退院したばかりなんだから。」

「うるさいわね、女は痩せてるのが一番綺麗なんだから。 そうだ、恭一のガールフレンドにも薦めてみたら?  『お母さん、スマートで羨ましいわー』って言ってたじゃない。」

半年前、恭一はガールフレンドの真理子を家に連れてきた。  私の見たところ、身長157cm、体重49.5kg ってとこだろう。  太りすぎだ。 若いからって許されるもんじゃない。

「恭ちゃんのお母さん、すっごく細くてスマートで羨ましいです。 私も痩せたいんだけどなかなか〜。」
などと言いながら、持ってきたケーキを勧められるままに私の分まで全部食べてしまった。

「真理子は別に太ってないよ。」  恭一はぶすっとした顔をする。 

先月、2度目に遊びに来たときは、私の姿を見て、驚いたような顔をした。  そりゃあそうよ。 家族に無理やり入院させられたお陰で体重が増えてしまった私は、そのあとまた必死のダイエットをして、以前よりさらに美しくなっていたのだから。

私と比べて自分の醜い姿が恥ずかしかったのだろう、真理子は驚いた顔をしたあとほとんど私を見ないようにしていた。

「お母さん、携帯鳴ってるよ。」

メールを見る。

「あ、理香子の塾のお迎えの時間だわ、 行って来るね。」

「お母さん、大丈夫? まためまいしたりしない? 最近運転してないじゃないか。 理香子にはバスで帰らせればいいじゃない。」

「いいんだってば。 電池も買ってくるから。」


車を車庫から出し、娘の塾の方向に走らせる。 途中、家の近くのスタードラッグの横を通った。

危ない!

信号もないところを横断する人影を見つけてブレーキを踏んだ。 ちょうどスタードラッグの前だ。

危ないわねー、と思いながら回りを見て、 あらっ?と思った。

店の前に車が三台止まっている。 そして対向車線側にも数台。 

ちゃんと駐車場があるのに。 それに店の前にはバス停もあるのだ。  普段、店の前に駐車する車は滅多に見かけない。  
店の前に横付けにした車の運転席から太った女性がいきなりドアをあけて出てきた。

後ろも確認せずにドアを開けたので、その横を通り過ぎようとした私は冷やっとした。

そういえばさっき対向車線に止めた車の助手席から飛び出すように出てきた女性も、かなり立派な体格をしていた。  まったく世の中の女たちは自分の姿を鏡で見たことがあるのだろうか。

もしかして。 いや、私が家を出る時にはさっきの番組は終わっていなかった。 しかし不安が押し寄せてきた。

塾の前で待っていた理香子を車に乗せると私は言った。

「そこのスーパーでヨーグルトと電池と、それからスキムミルクを買うから。」

「スキムミルクってなあに?」

私は先ほどの番組の内容を説明した。 女性がカルシウムと取ることの重要性を話し、ダイエットの部分については省略した。  ”ダイエット” という言葉に家族は過剰に反応するので面倒くさい。

「うん、買って行こう! 私もいつか赤ちゃんを産むんだからカルシウムは大事だもん。 それにお母さん、こないだも足首を骨折しちゃったから、カルシウムを取ったほうがいいよ。」

大型スーパーの駐車場に車を止めると、地下の食料品売り場に行った。  ヨーグルトはいつも買うからすぐに見つけられる。 はて、スキムミルクはどこらへんに置いてあるのだろう。 私は近くで棚の整理をしている店員に声を掛けた。

「スキムミルクは、どこら辺に置いてありますか。」

するとその20代そこそこの若い男の店員は、「あー。」 はいはい、というような感じで、 
「もうね、ぜーんぶ、ないですよ。 30分くらい前からないですよ。」
と、言いながら はっと息を呑む。  まただ。 若い男性までもが私のスレンダーな身体にドキリとくるようなのだ。  まんざらでもない気分。

30分くらい前から?  さっきの番組の影響だろうことは、その店員の受け答え方でわかった。

まずい。  急いでレジに向かう。

「スキムミルクを買おうと思ったら売切れなんですって。 いつもそんなに売れるものかしら?」

「そうなんですよー、 さっき次から次へ買っていくお客さんが多いもんですから、 聞いたんですよー。 そしたらやっぱりテレビでやっていたらしくって。 なんだかダイエットにいいとか? どんどん売れて、『スキムミルクないんですかー?』 って もう何人ものお客さんが聞いてくるんですよ。」

私は焦った。  みんながみんな痩せてどうする。  私の美しさが目立たなくなってしまうではないか。 皆がその気なら私はもっともっと痩せて誰よりも美しくなってやろう。

レジ係りの女性はお金を払う時に私の手首のあたりを見てはっとした顔をした。  こんなにダイエットしているのになぜか最近顔がむくんでしまっているので、 顔を見ただけでは私がどんなにスレンダーなのか気づかなかったのだろう。
私の手首は西洋の物語に出てくる可憐なお姫様のように華奢だ。 誰もが見とれてしまうのだ。  

レジを離れてもまだ彼女の視線を感じる。  買い物袋に品物入れている私の後姿を見てきっと羨望と嫉妬の入り混じったため息をついていることだろう。

買った品を袋に入れながら里香子に言った。

「さっき、スタードラッグの前にたくさんの車が止まっていたのは それよ! 早く行かなくっちゃ。」

「早く行こうよ、お母さん。」

私達は早足でエレベーターに向かい止めてある車のところに戻った。

スタードラッグに行ってみると、やはりそうだった。

「いやー、ないですよ。 からっぽ。 来るお客さん、来るお客さん、『スキムミルクはないんですかー。』って。 もうあっという間に売れちゃって。」

やばい。 私と娘は目を合わせると慌てて車に戻った。

「どうする?」

「Kストアが開いてるんじゃない?」

「行く?」

「行く!」


「ないですよー。 すみませんねー。 あれでしょ? ダイエットに良いとか。 ああいうテレビ番組の後っていつもそうなんですよねー。 でもほら、リンゴが良いとか、お酢が良いとか、きのこダイエットとかパイナップルダイエットが良いとかっていうなら、けっこう間が持つんですがね、そもそも、スキムミルクなんて普段売れるもんじゃあないですからね、もともとそんなに置いてないんですよ。」

「そうですよねー。」

彼が挙げたものは、全て私が過去に試したものだった。

「だけどー・・」 彼は私のシンデレラのように細いウエストをじろじろといやらしい目つきで見ながら言った。

「奥さん、ダイエットなんか必要ないでしょう。」

「え? 私の場合、カルシウムの補強の為なんですよ。 で、いつ頃 入荷するかしら。」

「いやーねえ、うちのあちこちの支店に問い合わせしたり、問い合わせがきたりしてるんですがね、もう関東近県、どこの支店にもないんですよ。 ぜーんぶ売り切れ。 メーカーだって、普段の生産ラインでやってるからね、すぐには入荷しないと思いますよ。」


「コンビニにも行ってみるわ。」

「ないと思うよ。 諦めようよ。 私、疲れちゃった。 帰ろう。 雨も降ってきたよ。」

「じゃ、理香子のことを一旦家に送ってからまた探しに出掛けるわ。」

「お母さんも帰ろうよ。」

「絶対買わなくちゃいけないの! ほっといて!」

理香子は下を向いてしまった。  近頃、本当にいらいらする。


理香子を家に送り届けると私はすぐに車を発進させた。

根性ないわねえ。 女は美しくなるためにそんな簡単に諦めちゃだめなのよ。   
見なさい、巷に溢れている ”諦めてしまった女たち” を。  私はけっしてあんな醜い姿になんかならない。
でも仕方ない、私も若い頃は、 努力というものをしてこなかった。  
子供の頃、クラスメートにつけられたあだ名 ”風船ゴジラ" や ”西瓜” ”場所ふさぎ” などの言葉が頭に浮かんだが、慌ててその言葉を振り払った。  今の私にはまったく関係のないあだ名だ。

でも私は死に物狂いで努力をしたの。  鈴木その子 の 鈴木式スーパーダイエット・ノン・ブック愛蔵版 を 読み実践し、 それから 宮本美智子 の 世にも美しいダイエット も 隅から隅まで読んで 頑張った。
それでも 足りずに、食後には 指を喉の奥に入れて 食べたものを吐き出した。  
だからこそ結婚だってできたのよ。 
子育てをしている間にまた太ってしまったが。 子育てには体力が必要なの。 

そう、子育ての一番大変な時期に夫は女を作った。  会社帰りに後をつけて見つけた夫の腕は細い女の腰に回されていた。  高いヒールのすぐ上には細く絞まった女の足首。 まだ子供を生んだことのない平らな腹。
飛び出して追いかけようとしたが、私は横のショーウィンドウに映った自分の姿から目が離せなくなってしまっていた。  醜く太った女がそこには映っていた。

でも今ではこんなに美しく痩せることが出来たのだわ。 すれ違う人々が感嘆の声をあげ振り向くほどに。 


近隣のコンビニを7軒入り、 走っている途中で見つけた見知らぬスーパーにも何件か聞いたが、スキムミルクを手に入れることが出来なかった。

車で走り回っているうちに環八通りに出てきてしまっていた。 いつの間にか雨は激しさを増している。

ハンドルの上に乗せた華奢な指先にあるこんもりとした硬い吐きダコ を 見ているうちになぜだか涙があふれてきた。 私は車を道路の端に止めた。  久しぶりの運転で息切れがする。


「もしもし。 もしもし?  佐知子なの?」

お母さん。 

私は知らず知らずのうちに 横浜で暮らしている母に電話をしてしまったようだ。 

携帯に耳を当てる。

「お母さん?」

「あー、佐知子。 どうしたの、こんなに夜遅くに。」

「うん。」

何か口の中に入れたまま話しているようだ。  こんなに夜遅くに。  なんて卑しいのだろう。

「なにか食べてるの?」

「うん、昨日から煮込んでいるビーフシチューの味を見てたの。 少しやり方を変えてみたのよ。 うん、なかなかいいわ。」 

母の作るビーフシチューの匂いが目の前にあるかのようにリアルに感じられた。  ミルク色の器に盛られたビーフシチュー。 その横に付け合わされるマッシュポテトに混じったバターの香り・・。サワークリームの白。

その情景を振り払いぎゅっと目を閉じると、忘れていた憎しみがふつふつと湧いてきた。 なにもかも母が悪いのだ。  自分が子供の頃に食べ物に苦労したからと言って 私に何でも好きなだけ食べさせた。 料理の稀なるセンスを生かして料理家などになった。 そして毎日毎日、豪華な食事を与え続けたのだ。 自宅内にあるキッチン工房には たくさんの弟子たちが出入りし、朝に昼に夜に美しく盛られたカロリーたっぷりの料理たちが並ぶ。
幼い子供に、それを拒む知恵も勇気もあろうはずがない。

「佐知子、どうしたの?」

「お母さん、 スキムミルクある?」

「え? あるけど。 パンを作るのに必要だからね。」

「今から 行くから。」

「え?」

「それから、 キッチンのドアはきっちり閉めておいて。」


電話を切ると、サイドブレーキを降ろし車を発進させた。  第3京浜の入り口はすぐそこだ。

360度のきついコーナーを過ぎると見通しのいい直線が続く。 私はすぐに一番右側の車線に行く。  ワイパーの存在が邪魔なほどに雨がフロントガラスを叩く。  

お腹が空いたな。 朝、リンゴを半個食べたのに。 昨日と今日で一個だ。 少し頭がぼんやりする。

前を走っている大型トラックの赤いテールランプが雨と混ざって眩しい。  
なんて遅いんだろう。  速度計を見る。  140キロ。  
遅いくせに追い越し車線にいつまでも居座わっているトラックが憎たらしい。  
左の車線に一度移って このトラックを追い越してからまた右側に戻ろうか。  
バックミラーとサイドミラーで確認してみるが この雨の中、どの車もスピードを出していてなかなか左に割り込めそうもない。
だんだんイライラしてきた。  私は急いでるのよ。  スキムミルクを早く手に入れてヨーグルトと混ぜ合わせて作っても、仕上がるまでには半日はかかるという。  
一刻も早く他の女たちよりも作ってしまわなくては。
  
救急車で運ばれて、 医者にまで 「このまま放っておいたら死んでしまうところだったんですよ。」 などと大げさに言われて。 夫は私の手を取って 「すまない。」なんて涙を流して。  なんにもわかっちゃいない。
おかげで 5kgも太らされてしまった。 そのあと体重をまた減らすのがどんなに大変だったか。

もう一度、鈴木式と宮本式をやってみようかな。 あれはかなり効いた。 

前を走っていた大型トラックの後ろのランプが突然赤く強く光る。 

その眩しさに私は目も頭もくらくらしてしまった。   

あー、でも 鈴木その子は突然死んでしまったのよね。 宮本美智子 も 若くして死んでしまった。  醜く太ったまま年を取って死ぬのと、美しくスレンダーな姿で若くして死ぬのとどちらが幸せなんだろう。  考えるまでもないわね。 

あの赤くて強くて眩しい光は、どういう意味だったかしら。  近頃、思考速度が遅くて。

光がフロントガラスいっぱいに広がり、世界が輝く赤に包まれた瞬間にわかった。

あれは ブレーキラン・・・・・・・


 
posted by tsukikohime at 02:19| Comment(2) | TrackBack(0) | 暮らしや料理 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年07月28日

7月28日物語 : 乾物のある風景

 
「絵が描きたい!」 と海が言うので、塾はお休みして、絵の教室に連れて行った。

 海が通っている教室は、曜日も時間も決まってなく、連絡さえすれば、いつ行っても何時間居てもいい。 たまに見かける海以外の生徒は全員、美大や芸大を目指している受験生だそうだ。

 先生は、若くて美人でグラマラスな芸大卒の先生だ。
 若くて美人でグラマラスな先生は、お相撲さんがひと蹴りすれば崩れてしまいそうな、古い平屋の一軒家に住んでいる。 初めて会った時の最初の5分間だけ、この若くて美人でグラマラスな女性とこの家との取り合わせが、奇妙で不似合いに感じられた。

 海が5歳の時、ふたりで野川公園で遊んだあと、「いつもと違う道で帰ってみよう。」 と歩いていたら、偶然見つけたアトリエだ。
 
 どこからか青魚を生姜と梅干で煮ている様な懐かしい匂いが漂ってきた。
 (鰯かな、秋刀魚かな?) 
 立ち止まって、匂いの出所を確かめていると、ギギギギ、パキッと音を立てて、古ぼけた玄関の扉が開いた。

 「鰯を煮てるんです。」と彼女は言った。
 
 卑しい私(と海)は、いつの間にか、くんくんと匂いを確かめているうちに、その家の庭の中に入ってしまっていたのだ。 家の前の砂利道とその家の庭との間には、区切りというものがなかったのだから仕方ないと思う。
 

 ギシギシ鳴る床の上で、生姜と梅干で煮た鰯が乗っているお皿を膝の上に乗せて、海はあっちの壁を見たり、こっちの壁を見たり、きょろきょろしている。

 「お嬢さん、本当に心底、絵が好きですね。 私には、わかります。」
  と、彼女は何か大事なお告げをするかのように、黒く長い睫毛の濡れたような瞳で私をじっと見つめてきっぱりと言った。 
 美しい口元に、調理する時に飛び散ったのであろう、鰯の鱗が、ついていた。

 全ての壁に所狭しと油絵のキャンバスが掛かっていて、他に見るものがないのだから仕方がない。
 でも海は、 『うん、大好き! 海も描きたい!』と元気に答えたのだ。


 若くて美人でグラマラスな芸大卒の先生の名は、愛子ちゃんという。
 その後、私たちは隣の街に引っ越したので、今は車で海を送って行っている。
 送って行った時も、お迎えに行った時も、いつも先生は、何か、もぐもぐ食べている。
 海に聞くと、愛子ちゃんは、アトリエから見える台所で始終何か煮たり炊いたり刻んだりしているそうだ。 そして、愛子ちゃんの少し大きめな美しい口元には、常に、何か食べかすが付いている。 時には、ご飯粒だったり、時には、玉子の黄身だったり、海苔らしきものだったり。


 下弦の月がぼんやりと浮かぶ夜の道を走って、海を向かえに行った。
 海はお弁当と水筒を持って6時間ほど、アトリエに居る。


 「今日は、何を描いたの?」

 愛子ちゃんは、よく絵本(絵を見せずに)や、物語を読んでくれて、それをイメージさせて絵を描かせる。

 「今日はね、料理の本を読んでくれた。」

 時々、料理の本の読み聞かせもしてくれるのだ。

 「『めしのチカラ』っていう本。 第四章だったかな。」

 「あー、知ってる。うちにもあるよ、その本。 それを読んでくれたの? 油で描いたの?」

 「うん、油絵だよ。」

 「出来は?」

 「『とっても美味しそう。』って言ってた。」 

 家に着いてから、その本の第四章を見てみた。
 
 めしのチカラ・・・魚柄仁之助

 <第四章・・・乾物で美味しく>


 この本は、私の持っている料理の本の中でも、(娘が嫁に行く時や、息子が一人暮らしをするような時には、ぜひ持たせてあげよう)と思っている本です。 たとえビンボー暮らしをしたって、これさえあれば、健康的な食生活が保障されると思います。


 


 
posted by tsukikohime at 22:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 暮らしや料理 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする