2006年06月27日

6月27日物語 : お洒落な恋愛


くどくどどろどろした恋愛ではないものを読みたい時には良いかも。
20代の恋愛話が10編。
石田さんにとっては、 初めての短篇集で初めての恋愛作品集になるそうです。
(2002年に単行本、 2005年に文庫化)  
ずいぶんと濃いセックスシーンもあるのに後味すっきり感が残るさわやかさ。
どうしてかな?
石田さんの恋愛ものは、 むかーし読んだ片岡義男を思い出します。
映像的で洒落ていて。 片岡さんほどクールではないけれど。

オンライン書店ビーケーワン:スローグッドバイ

スローグッドバイ  石田 衣良著2005.5  集英社

登場人物たちはみな自分をしっかり持っていて、男性はたいがい
180cm近くありやさしく紳士的で都会的。
女の子たちも背が高く、「私は醜い」と言い張るネットで知り合った
女の子でさえ美人ぽい。 

10編の話の登場人物はそれぞれ違う男女なのに、 男性の雰囲気が似通っていて、 
これは石田衣良さん自身がモデルなのかな、と思いました。
あとがきに、 実体験もすこしはあるけれどと書いてありますが、 
すこしではなくたくさんあるのでは〜。
最後に収められた表題作でもある 「スローグッドバイ」 は、
きっときっと石田さんの話に違いないぞ。

コールガールとの恋愛を描いた 「真珠のコップ」。
私と『ローマの休日』をしませんか? というネットの書き込みの女性に
ヴェスパに乗って会いに行く 「ローマンホリディ」。
このふたつが好きでした。

軽くて甘口、 お洒落な恋愛を夢見ても許される未婚のお若いあなたへ。
posted by tsukikohime at 09:56| Comment(4) | TrackBack(4) | 石田衣良 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年05月26日

5月26日物語 : 値動きの波


池袋ウエストゲートパーク のように主人公が読者に直接語りかけてくるこの手法。 
やはり石田衣良にはこの書き方がぴったりなように思います。 
キャッチャー・イン・ザ・ライ(ライ麦畑でつかまえて)にも似た語りかけ手法ですが、石田衣良は完璧に自分のものにしてますね。

「波のうえの魔術師」・・波? サーフィン? なんの話かタイトルから予想もつかないまま本を開きましたが、

ちょっとおれの話を聞いてみるといい。 絶対に損はさせない (もっともこの台詞は詐欺師と銀行員の決まり文句だ)。 ジジイがやったように、 おれもあんたにマーケットという名の水晶玉を渡してやる。 そいつを高くかかげるか、 足元で蹴りとばすか、 それはあんたの自己責任において自由だ。 
(略)
さあ取引を開始しよう。 おれの話は日本経済が破局に一番近づいた1998年、 あのぼんやりとあたたかな春から始まる。


上記の文章が出てきて、 私は威勢の良い若者に「あんた」呼ばわりされて始まる話にぞくぞくと嬉しくなってしまいました。
いいぞー! 石田さん、始まってー!

石田さんは若い頃、株式投資で生計を立てていただけあって、それも、毎日のように図書館に通って経済関連の棚を端から端まで読んだというほどの勉強家だったというから、 きっとおもしろい小説になるだろうなという予感。

オンライン書店ビーケーワン:波のうえの魔術師

波のうえの魔術師  石田 衣良  2001.8  文芸春秋


大学を卒業したものの、就職浪人で親からの仕送りとパチンコの稼ぎで暮らしていた若者に、 謎の老人が近づいてきてマーケットのマの字も知らなかった彼に一から指導していき、 大手都市銀行を破綻させる為の罠を仕掛けるという株式市場操作のからくりを書きつつ、 若者の成長話でもあり、 変額保険で苦しんだお年寄りたちのための復讐劇を含んだ人情話でもあったり、のストーリーです。

相場師の老人と若者の出会いにちょっと無理があったり、 そんなにとんとんと行くかいな、という気持ちもあったり、 そんな裏技を使って復讐した気になってるけれど一般投資家が損を被るんじゃ? という疑問もありましたが、 それよりもなによりも、 私はこの爽快なテンポの(おれ)が(あんた)に語りかける書き方が大好き。
ここのところ、ハズレを何冊か読んでしまっていたので、あーやっぱり石田さんは上手なのよね、そうなのよね、と一人ほっとしました。

経済のことや株式市場のことなどが苦手な人でも読める小説だと思います。
懇切丁寧に指導してくれる老人がいるので主人公と一緒にお勉強できます。
 
石田さん、親切だもの。 
posted by tsukikohime at 13:50| Comment(2) | TrackBack(1) | 石田衣良 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年05月12日

5月12日物語 : 石田さま


私は時々、あなたがわからなくなります
あなたのやさしい心は好きなのに
私は時々、あなたがわからなくなります

あなたは時に、 驚きと喜びで私の心を震わすのに
あなたは時に、 私を失望させます

あなたは時々、自分が見えなくなるようで
ひとりよがりになるようで

そして、 あなたはそのことにきづいていない
そのことが私を悲しくさせるのです

あなたはきっと私を喜ばせることだけを考えているのでしょう
そんなあなたを誇りに思うのに
あばたもえくぼのはずなのに
冷ややかな目になるのは
私の想いが足りないせいなのでしょうか
それとも私が間違っているのでしょうか
私にやさしい心が足りなくて
あなたの心が読めないのでしょうか

「ぼくとひかりと園庭で」は、私をとても戸惑わせたけれども
それでも私はやはりあなたが好きなのです
どうしても
嫌いになれません
                      

追伸・・これは、(絵本)の分類の棚でよろしかったでしょうか。


オンライン書店ビーケーワン:ぼくとひかりと園庭で 

ぼくとひかりと園庭で  石田 衣良  徳間書店
posted by tsukikohime at 23:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 石田衣良 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年05月04日

5月3日物語 : うつくしい子ども

オンライン書店ビーケーワン:うつくしい子ども

うつくしい子ども  石田 衣良  文芸春秋


またまた石田衣良さんのやさしさが伝わってくる小説を読みました。 この人は本当に子どもが好きなんですね。

主人公の男の子は(ジャガ)と呼ばれるにきびあとが顔に残る14才の中学2年生。 学校が大好きで、 嫌な奴もいるけれど話のわかる仲間もいる。
ある日、 彼の住む町で9歳の女の子が行方不明になった。
数日後、 女の子は無残な死体となって緑深い小山にある用具小屋の中で発見された。
猟奇的殺人事件の犯人は、 (ジャガ)の1歳下の弟カズシだったのだ。

これは、神戸児童連続殺傷事件、 いわゆる酒鬼薔薇聖斗事件をモチーフにしたものです。

被害者ではなく、 加害者の側の家族に突然襲い掛かった苦悩の日々。
しかし、ジャガはマスコミの追っかけや学校でのいじめや周囲の視線から逃げることをせず、 弟を想う。
弟はなぜあんな事件を起こしてしまったのか。

「それが最悪のおこないでも、 誰かがわかってやる必要があるのではないのか。 そうでなければ、 犯罪をおかした人は一生ひとりぼっちになってしまう。 最低の人間だって、 誰かそばに寄り添ってあげてもいいはずだ。 それがぼくの弟ならなおさらじゃないか」

弟の心を知りたいと思い、 友人の助けを借りながら、 弟が学校の図書室で借りた本や、 弟が観たホラービデオを観てみたり、 過去の作文などを調べたりするのだが、 そのうち弟に強い影響力を与えていたある同級生の存在を発見するのだ。 
弟ひとりの力で起こした事件ではなかった・・というあたりにかすかな光が残されています。

子どもを温かく見つめる目を持ち、 最悪な状況でも必ず救いを残す石田さんですが、 酒鬼薔薇聖斗事件をモチーフに・・というのはいただけないなと思いました。  読んでいて思い出してしまいます。
事件を思い出すのはもちろん、 以前読んだ『「少年A」この子を生んで……―父と母悔恨の手記』も思い出してしまう。  加害者の家族(父母)の視点でもちろん書かれたものなんですが、 読んでいて「???」 と首をかしげてしまったんです。 事件に対してはたくさんの謝罪の言葉を書いています。 でも母親としての感覚、ちょっと変。 事件前から見え隠れしていた息子のおかしな行動やサインをまったく気にも留めていなかったなんて。 そのちょっと変?具合が文章から読み取れてしまいます。

オンライン書店ビーケーワン:「少年A」この子を生んで……

「少年A」この子を生んで……  「少年A」の父母著  文芸春秋


石田さんがあの事件から発想したとしても、 遠く離した物語にすればよかったのに。  犯人の兄の一人称で書かれた文章、 新聞記者の視点で書かれた文章が上手く組み合わさって流れによどみがなく、さすがは石田さん、なのですが。

石田さん、好きだから他のを読もうっと。
posted by tsukikohime at 01:27| Comment(4) | TrackBack(2) | 石田衣良 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年04月07日

4月6日物語 : 本名 石平(いしだいら)さん

何冊か読んで、 「石田衣良って、 ずいぶんとあたたかでやさしい人だな」 と感じていた。 生まれつき繊細で人一倍傷つきやすい子供でもあったのだろうと。 石田さんの書くストーリーからはいつもやさしさがにじみ出ている。

半月ほど前だったか、 NHKの番組 「課外授業 〜ようこそ先輩」 に石田衣良が出ていた。 これは、各方面で現在活躍されている方が、自分の卒業した小学校に行き、授業をするという企画の番組だ。  だいたいが自分の専門分野で、音楽家なら音楽、体操の選手なら体操を、 枠にはまらない自分なりのやり方で授業を持つ。

石田衣良は作家だから作文指導かな、と思ったが、 ちょっと違った。 
「書く」 ことは 「書く」 が、 「何をどう書くか」 という技術ではなく、 「書く」 ことによって自分の考えている事を整理し、内面を引き出すといったことをやってのけた。  そういうことをやってやろう、などと尊大な気持ちではなかっただろうと思います。

6年生の教室に来たばかりの時は、 石田さんも子供たちも緊張して 話がなかなか進まず、 ぎこちなくて 「あ〜なんて不器用な人なんだろう」 と見ていてはらはらしてしまい、 そしてその不器用な石田さんにとても好感を持った。

「将来、何になりたいか」 というぱっとしない(ぱっとしない、と私は思ってしまった)質問から始まり、 「なりたいものがない」 「言ったら笑われそう」 などと、 うじうじ答えない子供たちに、いちいち 「う〜ん」 と考え込みながら、 ではどうして なりたいものがないのか、言ったら笑われそうと思うのか、 辛抱強く聞いていく。  
何回か書く作業をやらせているうちに、 子供たちが自分のこころの中を整理していく様子がわかった。  ちなみに授業は1日ではなく5日間ほど行なわれたようだ。 
彼らの書いた箇条書きのような文章を休み時間に一枚一枚丁寧に読み、 一人ずつ呼んで個人面談をしていく。 
「小さい子や弱い人にやさしくしたい」 と書いた男の子がいた。  「どうしてそう思ったの?」  「う〜ん、 僕、昔、いじめられたから」 「だから弱い立場の人にやさしくしたいと思ったの?」  「いじめられるのは、 辛いから」  「いじめられる人の気持ちがわかるんだね」 と言った直後に石田さんが指で自分のおでこをとんとんとんと叩いた。
とんとんとん。  石田さんは涙が溢れるのを堪えるためにそうしていた。
立ち上がり、隅に行き、 目頭を押さえた。

オンライン書店ビーケーワン:約束  約束  石田 衣良著  2004.7

約束 という小説は、 石田衣良が 池田小学校の事件をテレビニュースで見て、 悲しくて腹が立ってたまらず、 生き残った子どもたちにエールを送り、 なくなった子どもたちの魂を鎮めるために、 自分になにかできないかと真剣に考えたことがきっかけとなって書いたものだそうです。
ここに収められた7つの連作短編は、 大切なものを失い、傷つき喪失感を抱えた人達(主に子どもたち)が、 光りを見つけ再生していく物語です。

作者であるくせに、石田さんは最初の一行を書いた瞬間に涙を落としてしまったそうです。  小説家らしくないです。  でもそうゆうところが石田さんの魅力なんだなあ。

先ほどの男の子は授業最終日に 「僕は将来、保育士になりたい」 と 大きな声で発表していました。   自分の夢が見つかったようですね。
 
posted by tsukikohime at 01:37| Comment(4) | TrackBack(1) | 石田衣良 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年02月07日

2月7日物語 : エンジェル


受験が終わって、ぽけぽけぱーとなっていました。

エンジェル といえば、エアロスミスのエンジェル。

♪ ユーアーマイエンジェル〜

ではなくて、 石田衣良エンジェルの話。

この本の題名のエンジェルとは、 経営学でいうエンジェル。 経営学でいうエンジェルとは白い羽をはやした神の使いではなく、ベンチャー企業の創業時に立ち上がりのための資金=シードマネーを提供し、創業を援助する個人投資家のことを言うそうである。

そのエンジェルと、もうひとつ 本来の“天使”の意味のエンジェルと両方をかけているのかな。

この小説の主人公の生前の仕事は経営学上のエンジェルで、死んでエンジェルみたいなものになった。 エンジェルというか霊魂というか、姿も現わして周囲を驚かすから幽霊かな。

主人公が最初から最後まで死んでいます。 死んで幽霊になったのに恋までしてしまいます。 半ページのエピローグでまたこの世に別の人間として生まれるのですが。

自分が何者かに殺されて埋められるところを空に浮かんで目撃するところから始まる。

自分はなぜ殺されたのか、幽霊となり自分の死の謎を追うストーリーです。 
死の謎を追いながら、時々フラッシュバックして、自分の人生を生まれた日に遡ってところどころ追体験する。 そのことによって読者は主人公が殺されるに至る道を一緒にたどっていくのです。 
ミステリーなのかな、これ。

石田衣良かしら、鈴木光司かしら、と2,3度作者名を確かめてしまいました。

エンジェル 石田衣良 集英社文庫
エンジェル 石田 衣良著 2002.8 集英社

それにしても、石田衣良の小説には吉祥寺がよく出てくる。

池袋ウエストゲートパークの舞台はもちろん池袋で、先日読んでちょいと首をかしげたブルータワーの舞台は新宿だったが、LAST(この短編集は良かった!)の中でも、主人公の主婦が出会い系で知り合った車椅子の青年と行くラブホテルは、吉祥寺丸井裏のラブホテルだった。 「車椅子で入れるような設計になっているのは吉祥寺ではここしかないんです」のようなセリフがあった。
東横インの社長さん、見習いましょう。

1ポンドの悲しみを読んだ感想は後日書きますが、この中でも、 吉祥寺にある井の頭公園の池のボートにカップルで乗ると必ず別れることになる、なんていう地元ネタまで書いてあった。 これはここらでひじょうに有名な話で、吉祥寺周辺に住んでいる人ならほとんど知っている。  井の頭公園の神様は、女の神様で(弁天様だったかな)、カップルを見ると嫉妬して別れさせるとかなんとか。 
弁天様って嫉妬深いの?  自分の恋人ならともかく関係ないカップルまでに嫉妬するなんてそんなことはないでしょう、と思いつつも私たちは若い頃、本命の彼とは決して井の頭公園でデートなんてしなかった。  別れたくなると何も知らない彼氏に向かって 「ボートに乗りたいわ」なんてことをしてみたりした残酷な少女たちでした・・。 

話はエンジェルに戻りますが、主人公は吉祥寺に住んでいる。 吉祥寺のお屋敷。 そして繁華街のはずれにある小学校から大学までエスカレーター式の私立に通っている。 あ、それは成蹊ではないですか。

んー、やっぱり石田衣良は、下調べをしたにしてもなあ・・と思って、著者略歴を調べてみた。 

はい、石田衣良さんは、吉祥寺にある成蹊大学卒業でした。 なあるほど。

・・・などと小説の中身より他のことばかり気になるのは、私がここのところポケポケしてしまってるからではありません。 

ちょっといまいちでした、この小説。

どの本を読んでみても、たとえ残酷なシーンなどが出てきても、石田さんて育ちが良くて性格も温厚で優しい人だなと感じます。 文章やストーリーにいいとこの坊ちゃんを感じさせます。  時々その育ちの良さが邪魔をしてストーリーに甘さが残るような気がします。  そこを頑張ってドカンと書いたのが LASTなのではないかしら。

石田衣良の作品の中では今のところLASTが一番好き。 LASTを書ける石田さんだから、他の作品も期待して読みたくなります。

なんだろう、まだポケポケしてる、私。 エンジェルの話はいったいどうなったんだ。  早く戻ってこなくては。

                            ぼけぼけぱーのつきこさん
posted by tsukikohime at 23:59| Comment(2) | TrackBack(2) | 石田衣良 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年01月27日

1月27日物語 : インフルエンザ


インフルエンザの予防接種はお済みですか。

今年のインフルエンザワクチンはなんでしょう。

近年の流行状況や流行前の健康な人が持っている免疫の状況などから予測して作られた平成17年度(2005/06)のインフルエンザワクチンには、 A型2種類およびB型1種類が含まれており、 A/ニューカレドニア(H1N1), A/ニューヨーク(H3N2)、B型のいずれの型にも効果があるそうです。

でもそれ以外の型のインフルエンザにかかったら、効果がありません。

今、騒がれているH5N1型の鳥インフルエンザにももちろん効果がありません。

例えば 1997年に香港で発生した A/H5N1亜型は 鳥型インフルエンザで、人への感染が見つかったので、 香港の150万羽の鶏は一晩のうちに殺され廃棄処分されました。
この時、6名の死者と18名の感染者を出しただけでその後、このウィルスが世界に広がっていくことはありませんでした。

ありませんでした、のはずだったのにありました。 今年に入ってからもトルコで見つかってしまいました。 H5N1型です。 トルコで鶏は100万羽も大量処分されました。 イランはトルコとの国境を閉鎖し、国境沿いの地域の村落で2600羽処分したそうです。 今後23村落のすべての鶏類を処分するそうです。 「今後は減少傾向に向かう」とWHOは言っておりますが・・、春に向け渡り鳥の移動とともにシリア、アフリカなどへ感染が広がる危険性は消えません。

トリのことだけを悪く思ってはいけません。 他の哺乳類だってウィルスを持っているのです。 
鯨やイルカが湾内に迷い込んできて浅瀬に打ち上げられたりするのは、インフルエンザが関係しているケースが多いそうです。
30年ほど前には馬もインフルエンザにかかり、東京大井や中京中山の競馬場でレース開催が中止になったこともあるそうです。 

いったいどのくらいの種類のインフルエンザウィルスが発見されているのでしょう。

インフルエンザの抗原型はウィルス表面にある2種類のスパイク、赤血球凝集素とノイラミニダーゼの遺伝子構造で分類されています。

には1〜15種類あって、 には9種類見つかっているそうです。
その組み合わせ分だけ種類があるんですよね。

近年の傾向から予測して、今期のワクチンが決められるわけですが、それでも流行に間に合わず品不足になったりする年もあるのだから、 用意していなかった種類のインフルエンザが流行りだしたら、間に合いません。 

有名なところで1918年に流行したスペイン風邪と呼ばれるものがありました。 当時はインフルエンザどころか、 ウィルスというものが発見されていなかったので、もちろんワクチンもあるわけがなく、一年ちょっとの間で全世界ですくなく見積もっても3千万人が死亡したそうです。
全人類の50パーセントが感染し、1.5〜2.5%が死亡したそう。

近年の科学者があとから死体を掘って調べた所、その抗原型は、H1N1型のインフルエンザだったそうです。

今、新型のインフルエンザが現われた場合、アメリカでは8〜20万人、わが国では3〜4万人の死者が出ることが懸念されています。

怖いです。

上記のことは私が調べた限りの話ですから、まちがった情報があったらごめんなさい。 
井戸端話程度に読んでくださいね。

でも、なんとなく怖さは伝わったかな。

で、ここからは、小説の話。

100年後の未来に トリ由来のインフルエンザウィルスH17N1(増えてる! 発見されてもっともっと増えるかもね)に遺伝子操作を加えて、生物兵器として使用してしまった国があるという。 Nの活性部位に遺伝子操作で複雑な鍵をかけてしまったため、ワクチンが作れない。 いっぱい人が死んじゃう。 ワクチンがあったって大量生産するのに時間がかかって間に合わなかったりするのに、これはワクチンをまったく作れないのだから、大変なことです。

そのまた100年後の世界、生き残った人々は高さ2キロという塔に住み、経済能力によって階級が決まり、文字通り済む階も違う。 下に行くほど貧しく、そして、このビルにさえも住めずウィルスが蔓延する地上に住む人々。

石田衣良が、9.11の映像を見たときの衝撃からインスピレーションを受け書いたという、初めてのSF作品、 ブルータワーです。

SFが苦手な私にもするすると読めました。 だってね、あまりにも近未来において想像がつきそうな話なんだもん。

インフルエンザウィルスを生物兵器にするとか、経済能力別に階級が決まり住む高さが決まるとか。

現在の世界と200年後をタイムスリップしながら、主人公、戦います。 脳腫瘍で余命1,2ヶ月と診断されて、歩く事もままならない43歳の主人公 瀬野周司が、200年後の世界と現実世界の間を行ったりきたりしながら戦います。

ストーリーは、うーん、これ、本当に石田衣良? 
LASTや、一ポンドの悲しみ を書いた石田衣良のほうがずーっとよいのですが。

SFというよりありえそうな話なので、そこがちょっと怖かったかな。

よく食べ よく寝、外出から帰ったらうがいをして 石鹸で手をしっかり洗いましょう。


ブルータワー 石田衣良 徳間書店 2004年9月30日 第1刷
posted by tsukikohime at 19:41| Comment(2) | TrackBack(1) | 石田衣良 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年11月10日

11月9日物語 : いらいら


「すんげえ、 読みやすかった。 テンポが良くてノせられた。」 そうだ。

部活でへろへろになって8時に帰ってきた中2の空は、 うっかり 石田衣良(いしだ・いら) の 池袋ウエストゲートパーク を 手に取ってしまった。

あ、 まずい、 はまるぞ、 と思ったけれど、 やはり・・・。

かばんを肩にかけて立ったまま、本の中に入っていく。

無理やり本からひっぺがして、夕食にした。 もう、お腹すいちゃったよー。

「ごちそうさま!」 と言って食器を流しに運んでそのまま文庫を手に取ってソファにどかっと腰を降ろすと10時過ぎには読み終わっていた。


本を読んだあとの空のいつもの感想は、

「おもしろかった。」 か 「こんなもんかな。」 か 「つまんねえ。」 の三つ。

それが今日は、 雄弁だった。

「かっこよすぎるよ、 マコトってやつ。  映画かマンガかゲームにしか出てこないタイプのヒーローが池袋の果物屋で店番やってるからまたかっこいいんだよな。」

「ドラマ化されて、ずいぶん話題になったのよ。」

「だろうな。  映像が目に浮かぶもん。   次々にアイテムを身につけちゃって装備固めてさらに強くなっていって、 臭さ過ぎるほどかっこいい。」

「アイテムって?」

「クラッシク音楽に詳しくなっていくキッカケとか、 パソコンに詳しくなっていくキッカケとか、 絵がうまい仲間と知り合うとか、 電波マニアと知り合うとかさ、 そういう道具や、使える仲間がどんどん増えていくだろ。」

「まあね。 主人公は19歳だからね。 最初から何でもかんでもアイテムは持ってないのよ。」

「でも、新任の池袋の警察署長が昔近所に住んでいて親しかった頭の切れるお兄さんだったというのは無理やりなアイテムだけどね。」

「あはは。 それはね、ずるいよね。」

「出来すぎの話だけど、 まんまとはまったなー、 この話。」

「文体は読みづらくなかった? こう・・ 名詞で止まるのが多かったでしょ。」

「読みやすかったよ。 翻訳モノのハードボイルドみたいで。」


10代の子はまんまとはまるだろうな、と思ったとおり。

時代の波に乗っているというより、 自分で時代を作ってしまいました。

10代の若者の話だからと、 敬遠してたらもったいないですよ。

「最近の若いもんは何を考えているのかわかんないよ。」 なんて、別の星に住んでいるわけではないのだから、 『まことちゃん』 に橋渡ししてもらうと良いと思います。  

「今」 を読むなら 石田衣良!!

絶対売れると、 書きながら確信していただろうな。

題材と文体と構成を計算しつくして びしっと決めています。  ひたすら涙腺を刺激して取り入ろうと計算されているものより、ずっと 気持ち良く読めます。   デビュー作でしたたかだー。


ひとつ、 ひとつだけ気になったことがあったのだけど・・

一ページ目の4行目。

「プリクラのなかには、 ほっぺたとほっぺたをくっつけて、 最高におもしろい冗談を今聞いたばかりって顔が並んでる。」

というところ。

この3ヶ月以内に読んだ本の中でそっくりなフレーズを読みました。

気に入ったので、 ノートにメモしてあったはず・・とノートを見てみると、
たったいま最高の冗談をおもいついたような笑顔で写真に写っている。 と書き留めてありました。 

でも、どの小説に出てきたのかまでは書き留めて置かなかった私。  何十冊もひっくり返して探したけれども見つからない。  他の人の小説だったのか、 同じく石田衣良の小説だったのかもわからない。 どちらが先にそのフレーズを使ったのかも。


うー、いったいどの小説に出ていたんだ〜!  いらいら。


オンライン書店ビーケーワン:池袋ウエストゲートパーク
posted by tsukikohime at 10:37| Comment(2) | TrackBack(1) | 石田衣良 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年08月29日

8月29日物語 : LAST NO MEGANE


夕方、4時頃に買い物で出て、 食料品を買う前に本屋に寄った。

いったい毎月何冊の新刊本が出ているのだろう。

本の題名は、 一番のキャッチコピーだ。

LAST という本を買った。

スタバに行くと壁際の席に 女性が一人ずつ座っていた。 そのふたりの間の席が空いていたのでそこに座った。 

本を持って入っても、 しばらくコーヒーを飲みながら店内にいる人々を眺めるのが好きだ。

テーブルに買ったばかりの本と、携帯、小さなノートとシャーペンを置くと、 かけていたサングラスを外す。 
サングラスをしていると、反対にこちらがちらちらっと見られてしまうから。
軽い近視なので度付きサングラスを外すとあまり遠くの人々の様子が見れなくなるのは残念だけど。

壁に背中をつけるようにして左の女性を見る。 

なぜ通販で買うのですか という題名が見えた。

透明なカバーがかかっている。 図書館で借りた本らしい。
30代後半くらいの左手の薬指に指輪をしている化粧っけのない小柄な女性だ。 
服装もとても地味で ベージュのスラックスと 無地のTシャツ。 色は、忘れた。
穏やかな結婚生活を送っていそうに見えるけど、人間見た目だけではわかりません。

右を見る。 
右側は、 とても圧迫感がある女性。

銀のラメが散りばめられたショッキングピンクのTシャツの下は、 これまた銀ラメが散りばめられたGパン。 座高でしか想像できないが、 かなり背が高そう。  そして、体重は、私の倍はあるだろう。  年齢は、うーん、 とっても難しい。 30才〜50才くらいの間、どれにも見えるんです、ほんと。
自己主張の強いファッションと かまっていない髪型とすっぴんの顔と。

彼女は新星堂の袋からCDを取り出すと、 ずーっとジャケットの表側を見つめている。
なんのCDだろう。 すごく知りたいな。

裏側を見るとかパッケージを開けて歌詞カードや解説を見たりしないんだもの。

ただひたすら、 ジャケットに写っている歌手の写真を見つめている。

だーれだろう?  あ、ようやく見えた。  ・・松田聖子 でした。

もう一度、 左隣の人をなにげなーく見る。 
さっきと違う本を読んでいる。 えーと・・・ 私は生みたい
変わった題だ。 スーツ姿の女の人の写真が表紙に出ている。
ん?  野田聖子

まあ! どちらも聖子ちゃん・・。

電車の中やスタバのようなコーヒーショップでヒューマンウォチングをしていると、7回に1回くらい同種の人に出会うことがある。
 
その人も私もまわりを観察しているので、何度か目が合ってしまうが、 
(昔、一緒に銀行強盗してきっちり分け前を配分して逃げ仰せ、今後は決してお互いの人生に顔を出さない、と誓った人にこんなところで会ってしまった。) みたいな気分になる。

こんなふうに知らない人々を眺めるのは 好きだが、 なぜか近い人に目がいかない。 

海や空のクラスメートの親に街でばったり出会っても9割は、わからないだろう。 
顔と名前が一致しないどころか顔も名前も把握していないし、 覚えようという意思もない。
失礼この上ない私です。



・・・と、悪趣味はこのぐらいにして、先ほど買った本を開きました。

7つの短編のうち5つをスタバで一気に読んでしまいました。  おもしろかったの。

短編の題のあたまが全部 (LAST) で始まります。  1話目が LAST RIDE,  2話目が LAST JOB 、 3話目が LAST CALL という具合です。

「もう、あとがない! でも明けない夜はない。」 と帯に書いてありますが、 これはとても内容に合ってました。

筆者のあとがきに 「エンドマークのあとも続く、ぼくたちのリアルな人生を考えるために、この本がすこしでも役に立つのなら、ぼくとしては満足です。」 と 書いてあります。

石田衣良(イシダイラ) は初めて読みましたが、 ぜひ他の作品も読んでみたいと思います。

気が付くと、両隣の聖子ちゃん達はすでに席を立った後で、 窓の外には夕闇が迫っていました。 
日が落ちるの、早くなりましたね。

サングラスはバッグにしまいました。 

近視のくせに 普通の眼鏡は持っていず、 度付きサングラスしかない私は夕方以降に運転する時はとても優良ドライバーです。  次回の免許書き換えの時までに普通の眼鏡を買わなくては。

眼鏡の似合う女性は 美人だ、 と言いますが。 

似合わないんだなあ、 私・・・。   がっくし。

LAST
LAST
posted with 簡単リンクくん at 2005.11.20
石田 衣良〔著〕
講談社 (2005.8)
通常24時間以内に発送します。
posted by tsukikohime at 23:12| Comment(4) | TrackBack(3) | 石田衣良 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする