村上春樹の本が並んでいる棚からふと取り出して一冊読む。
そうゆうときはたまにあるけれど。
出版された順に最初から最後まで全部読んでしまう、そんな時期はわたしにとって前にもうしろにも右にも左にも動きが取れなくなっているときらしく(あとから考えてみれば)。
良くも悪くも、自分のとても親しいところに位置している大切な作家である、などと思うのですが。
そんなふうに感じる人が多いからこんなに読まれるのでしょうね。
エッセイや翻訳などを除いて年代順に並べてみると、
1979 風の歌を聴け
1980 1973年のピンボール
1982 羊をめぐる冒険
1983 中国行きのスロウ・ボート
カンガルー日和
1984 蛍・納屋を焼く・その他の短編
1985 世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド
回転木馬のデッド・ヒート
1986 パン屋再襲撃
1987 ノルウェイの森
1988 ダンス・ダンス・ダンス
1990 TVピープル
1992 国境の南、 太陽の西
1994 ねじまき鳥クロニクル(第1部・第2部)
1995 ねじまき鳥クロニクル(第3部)
1996 レキシントンの幽霊
1997 アンダーグラウンド (*ノンフィクション)
1998 約束された場所で (*ノンフィクション)
1999 スプートニクの恋人
2000 神の子どもたちはみな踊る
2002 海辺のカフカ
2004 アフターダーク
象の消滅
2005 東京奇譚集
「年代順に全て読む」 のは、著者が健在な限り、 年々作品の数が増えていくので(当たり前)大変な作業になります。
しかし作業だなんて実は思っていないので、 とり憑かれたように読んでいきます。
村上春樹の本は、 読み直すたびにひとつひとつの作品内の新しい発見や、作品と作品との符合を見つけて楽しめる反面、 読んでも読んでも深まる謎もあって、 それはわたしが馬鹿なのか、 読解力が足りないのか、 わたしの受信機に不備があるのかと不安がよぎることもあります。
だからといって、
この 「共鳴+謎+読解力不足疑惑」 を、 どうにかしなきゃなんて気持ちはさらさらなく、 世に売るほどある(売っているのよ)村上春樹解読本やら研究本やら評論本なんか、ゼッタイ(!)読むもんか!!と思っています。
思っているところに、 友人が 村上春樹はくせになる なんて本をプレゼントしてくださり、 へらへらと頂戴し、そして変な罪悪感とともにわくわくと読んでしまいました。
それはまるで、中間考査発表直後に数学の教師が落とした意味不明のメモを拾ってしまったときのような気分でした。
[・直子オムツ ・牛乳2本 ・P35〜P51 ・作図2点、 各5点 ・山下さん、柿の
頼むから わたしの 「共鳴+謎+読解力不足疑惑」 に手を出さないでくれ〜と著者の清水良典に願いつつ、読み進めましたが、願いは届いたようです。
「謎は謎のままでいい」 というメッセージがひじょうにありがたく、 「共鳴+謎+読解力不足疑惑」 を抱えたまま今後も村上さんと親しくお付合いを続けていけそうで嬉しく思います。
もうひとつ、ありがたかったのは、 わたしが年代順に読むときに、 はずしていた 「アンダーグラウンド」 と 「約束された場所で」 は、 はずすべきではないと知ったこと。
ありがたい、というか、読む量が増えて迷惑だ、というか。
はずすべきではなかった、 ということがわかったから、 それでOKということで、 今後も年代順に読みたいときは、 はずしそうです。

村上春樹はくせになる 清水 良典著 2006.10 朝日新聞社









