小川洋子さんが描く場所や人の多くは、国籍不明な感じがします。
なさそうでありそうな国。
ないだろうけどあっても不思議ではない街や村。
なくてもいいけどあったらおもしろうそな職業。
ブラフマンの埋葬

この本の中で名前を与えられているのは一匹の動物だけだ。 しかしなんという種の動物なのかは明記されていない。
まだ子供で、 「僕」の腕にすっぽりおさまる
黒いボタンのような鼻
泳ぎが上手
胴の1.2倍の長さの尻尾
体毛は短く濃い茶色と薄い茶色のグラデーションになっている
足には肉球があり爪があり水かきがある
ひげがある
そして鳴かない
アザラシ? プレーリードッグ? ビーバー?
夏のはじめのある日、 〈創作者の家〉の住み込みの管理人である(僕)の部屋の勝手口のところにその生き物がやってきた。
僕は、その生き物に (ブラフマン)という名を与える。
〈創作者の家〉 というのは、元はある出版社の社長が別荘として使っていたもので、 彼の死後、 遺言により、 あらゆる種類の創作活動に励む芸術家たちに、 無償で仕事場を提供するための家、となったのだそうだ。
作家や詩人や翻訳家はもちろん、 哲学者、 画家、 デザイナー、 指揮者、 装丁家、 カメラマン、 歌手、 染色家、 映画監督、 バイオリニスト・・・。
自分は芸術家だ、と名乗りさえすれば、 誰でも宿泊できるのだ。
この物語のメインとなる登場人物は、 (僕)、(ブラフマン)、(娘)、(碑文彫刻師)、(レース編み作家)。
なさそうでありそうな国の、 ないだろうけどあっても不思議ではない村の、 なくてもいいけどあったらおもしろい〈創作者の家)の管理人の僕と、 小さくていたずらで愛くるしい正体不明の小動物ブラフマンとの物語。
ブラフマンの特徴や性格などを丹念に観察した記録を読んでいるうちに、 その可愛さにどんどん惹かれていってしまいます。
ブラフマンの愛くるしさの虜になっていくのが怖い。
孤独だった僕と愛らしいブラフマンの蜜月の終結の不吉な予感が、
夏の終わりとともに、残りページの少なさとともにじわじわと押し寄せてきます。
あー、ブラフマン。
タイトルからわかっていたけど、どうか不幸な事件など起こらないで。
僕の孤独とブラフマンへの愛情と娘へのかなわぬ想い。
そして物語の底辺でずっと流れている死の匂い。
(僕)は何も望まず孤独であるべきだったのだろうか?
ブラフマンを失ってからの僕の心情や日々が書かれていない。
読者ひとりひとりが、自分の中で書かなくてはならないのだろう。


小川さんの描き出す物語は、ほんとに国籍不明ですね。
小川さんは、いったいどんな景色を観て成長してきたのでしょう。
見え方が違うだけ、かな。
ふたたびtsukikoさんの文章が読めることを願いつつ。
なんと長い間記事を書かなかった私でしょう。
なんと長い間、我がブログを覗かなかった私でしょう。
一ヶ月近くもMOWさんのコメントに気づかなかったなんて。。
I'm sorry・・・
さて、最近、ブラフマンみたいなものを飼っている
喫茶店を発見しました。
どうやらそれはプレーリードックみたいでした。
黒くて塗れてるように光っていました。
今度行ったら写真に撮ってブログに貼ろうと思います。
請うご期待。
・・・ごめんねー!話ごまかしてー!
また書くからぁぁ。