2007年04月29日

4月30日物語U : わたしにもできる?

オンライン書店ビーケーワン:あなたにもできる悪いこと

あなたにもできる悪いこと  平 安寿子著  2006.7  講談社

健康食品、腰痛防止のサポーターやマッサージ器具、英会話の教材、化粧品、シロアリ駆除、
ソーラーシステム、幼児用CD・・・

桧垣はセールスマン。

それを買えば、これがついてきます。
アンケートに答えれば、粗品を差し上げます。
一本で二本分の効果があります。
期間限定お試しサービス中です。
お得です。 経済的です。

原価率の低い粗悪品を売りつけたときの快感は、いってみれば
暑い日に飲む生ビール。

でも、一ヶ所で長続きしないので、いつもお金に困っている。

そんな桧垣の腕を見込んでぜひ立ち上げたばかりの自分の会社を手伝って
ほしいと、高校時代の同級生、時任に誘われた桧垣。

最初の3ヶ月は売れても売れなくても基本給は20万出すの言葉に乗っかって
働きだした初日に、時任が逃げた。

残された時任の愛人らしき秘書(とてつもなく無愛想)と手を組んで
(半ば脅されて) 次々と詐欺まがいのことを始めるのだが・・。

6つの連作短編ですが、ひとつの話を読み終わっても
休憩を入れたくないほど、テンポのある文章とおもしろさ。

なめらかなトークで目先の欲をつついてやれば、
人はあっさり騙されるそうですが、 
この本もつかえる場所なくなめらかな文章で、
するする読みきりあっという間に娯楽の時間を甘受できました。
文字だけで娯楽をしようという欲張りな本読み人間をつつく
コツを熟知してる〜。
いちだんと腕を上げた?
タイトルもいい。
タイトル見ただけで、わたしは“読みたい欲”をそそられました。
posted by tsukikohime at 02:08| Comment(0) | TrackBack(0) | たちつてと | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年04月25日

4月26日物語U : 明日、月の上で

オンライン書店ビーケーワン:明日、月の上で

明日、月の上で  平 安寿子〔著〕  2002.11  徳間書店


わたしはストリッパーです。 田舎の小さな温泉町で 「見せても触らせない本格派」 
の矜持(きょうじ)を貫き、過ぎしよき昭和の匂いを残す最後のストリッパーといわれています。

―と、これが出だしの一行目。

主人公のトビ子が、ストリッパーではないのですよ。
大好きなブンちゃん、 どこかへ行ってしまったブンちゃんを捜し求めてたどり着いたのが、中国山地の西のはずれにある霧舟温泉。
その霧舟温泉でブンちゃんのお姉さんがラーメン屋をやっているという。 
他に身寄りのないブンちゃんは、きっといつかそこに現れるだろう。
ブンちゃんに会いたい!

一途で健気で一生懸命なトビ子。

26歳になっても他人の言い種にいちいち反応して喧嘩腰になるトビ子。

騒動好きで何でも首を突っ込みたがるお祭り好きなトビ子。

霧舟温泉でストリップ小屋を経営する元全共闘の“おかあさん”や、 ストリッパーのマリアさん、 ストリップ小屋で働く人々、 ラーメン屋をやっているブンちゃんのお姉さん。 そのお姉さんのお姑さんや、土産物屋のコウばあさんなどひと癖もふた癖もある温泉街の人の中でいろんな騒動に首を突っ込むうちに1年2ヶ月も居着いてしまったトビ子。
愛しのブンちゃんのことはどうなっちゃったの? 
と心配していると、いきなりブンちゃんが放浪の旅から帰ってきました!!

さあ! どうなるのでしょう!?

続きは来週のお楽しみ!!

挿入歌は、石川さゆり、都はるみの叙情あふれる演歌数曲と、ジョンレノンの「スターティング・オーバー」、そしてアダモの「明日は月の上で」でした!

なんてね。 
続きを書いたりしませんからね。
posted by tsukikohime at 23:38| Comment(2) | TrackBack(1) | たちつてと | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年04月22日

4月22日物語U : 遺憾ながら美しいわたし


玄関先に七竈(ななかまど)が植えられている家で育った中肉中背で
とても平凡な容姿のわたしは、ある男性を好きになりました。 
でも、彼は結婚したばかりで、臆病なわたしは、告白することも手に入れることもできません。 
彼は、職場の同僚で隣の席に座っています。 朴訥とした教諭です。
彼は職員室である日七竈の話をしてくれました。
「七竈は、とても燃えづらく、七回も竈に入れても、燃え残ることがある。 
しかし、そうやって七日もかけてつくった七竈の炭はたいへん上質なものらしい。」

25歳のわたしは自分を変えたいと思いました。 
変わらなくちゃ。 どうしたら変われるだろう。 
おんなというものは、どうしたら、変わるのかしら?  
こころのかたちを変えるのに必要なのは、男遊びなんじゃないかとわたしは生真面目に考え、
そして、辻斬りのように男遊びをしたいな、とある朝とつぜんに思いました。
旭川という小さな町で、たった一ヶ月ほどのあいだに7人もの男と寝ました。

そして十月十日後、娘を産みました。 美しい一人娘。
名前は、川村七竈(かわむらななかまど)です。
 

17歳になった娘が語ります。
わたし、 川村七竈17歳はたいへん遺憾ながら、美しく生まれてしまった。 
なぜこんなに美しくなってしまったかというと、 それは、母がいんらんだったからです。
七竈の実というのは、種類にもよりますが、かたくて食べると苦いものもあるそうです。 
だから鳥も食べずに残してしまうことがあるそうで、
そうすると冬になって白い雪が降り積もっても赤い実をつけたまま、
赤と白でとても美しいそう。 
そのまま朽ちる運命ですが、とにかくずっと美しいのだそうです。
バスでたまたま会った小学校の時の先生が、 
なんとかわたしの美貌にひるむことなく朴訥とそんな話をしてくれました。

わたしはこの狭い旭川の町でとても生きづらい。
なぜなら、母はいんらんだし、わたしはあまりにも美しいから。

美しいわたしには女ともだちなんてできない。
でもいい。 だってわたしにはたいせつな幼なじみがひとりいるもの。
彼とはいつもいっしょ。
彼の名は、桂雪風。 雪風は、わたしのように美しい。
とても美しい。 そう、わたしと彼の美しさはとてもよく似ている。
まるで血のつながったきょうだいのように。

オンライン書店ビーケーワン:少女七竈と七人の可愛そうな大人

少女七竈と七人の可愛そうな大人  桜庭 一樹著  2006.6  角川書店

          遺憾ながらおもしろかった。
posted by tsukikohime at 23:01| Comment(6) | TrackBack(0) | さしすせそ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年04月19日

4月19日物語U : Taste of ・・


そうこうするうちに雪もほとんど降らない東京の春は往き、梅は咲き散り、桜も開き雨に打たれて散り、娘は中二になり息子は中学を卒業し高校生になりました。 
とは言え、中高一貫校なので、メンバーはほとんど同じく。

つきこさんは、外で働くようになり、ある資格を取るための勉強も始め、子育てやら家事の手抜きや人とのお付き合いを減らすことができない不器用なひとなものだから、限られた時間の中、削られていくのは、趣味の分野。

と、言い訳なんぞかましたところで。

頭蓋骨の上の右のほう、ちょっととんがってるというほどではないけれど、ほらそこらへん。 右手を持っていくと手のひらにすっぽり収まるあたりのそこ。
と、言いつつ触ってみると、かわいいわね、この頭蓋骨の形状って。
自分でなでても気持ちが良いのだから、ひとになでてもらったりするともっと気持ちが良いわけだ。 
で、そこらへんにボタモチくらいの大きさでいつも [ブログブログブログ本読み本読み本読みブログ本読み書きたい書きたい本読みブログ] というのがへばりついていました。

仕事って、あれね、16年ぶりくらいに働いてみたけれど、おもしろいわね。 わたしってまだ使えるじゃないの、なんて責任も生じるからそう簡単にやめるわけにはいかないけれど、仕事量は減らしましたですよ。 
勉強はやめないけれど。
まったくもう、ただでさえ、テンポのとろいわたしがあれもこれもあれもこれもって、無理に決まってるのに、何十年わたしという人間をやってるの、気づきなさいよっ!! ・・・と思います。

滅多に更新できないかもしれないけれど、ぜったいブログやめへんから!

さてと。

エッセイというものは、ふつうあれですよね、少し誇張はあるとしても、まあほとんど自分にかかわる事実をもとにして書いたりするもんですよね。 だからそう思って読み始めたわけですが、すぐに気づきました。 こりゃあ、ほとんど創作。
最初はちょっとは真摯な態度も見られるのですが、だんだん話が脱線し、大きく膨らんで妄想が入り混じり書いている本人も収拾が着かなくなって踊りだしたり、走り出したり、発狂したりのエッセイでした。

町田さんの超短編小説を読むつもりで読みましょう。

雄大な自然の景色を見た折などに 「あー、わたしはなんてちっぽけなことでくよくよしていたんだ、こんな壮大な自然の前では、こんな点にも満たないわたしの悩みなんてちいさいちいさい」 と、悩むことがばからしくなったりするとはよく聞くはなしですが、町田さんのエッセイを読んでいると真逆の方向から、あれもこれもの悩みや心配事があほらしくなって吹き飛んで行くという素晴らしい効果があります。

中島らもさんの 「明るい悩み相談室」と似た効果です。 

久々に声に出してまで笑っちゃった本でした。
タイトルは 「テースト・オブ・苦虫」ですが、読後わたしに及ぼした効果からすると、 
「テースト・オブ・ハニー」 でした。

                  オンライン書店ビーケーワン:テースト・オブ・苦虫 3
                 テースト・オブ・苦虫 3
                 町田 康著 
                 2006.11  中央公論新社


またね!!  (あー、やっぱ、書くの好き。)
posted by tsukikohime at 23:35| Comment(6) | TrackBack(0) | 町田康 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする