2006年11月10日

11月10日物語U : これからは武士よねっ


えへへ、読んじゃいました。 国家の品格。 ベストセラー!

オンライン書店ビーケーワン:国家の品格

国家の品格  藤原 正彦著  2005.11  新潮社

これ、売れるの当然。 仕方ないです。 だっておもしろいもの。
そして読んだ人は隣りの誰かに薦めちゃいますよ。
「読後の感想、意見はいろいろあるだろうけど、 まあ、とにかく読んでごらんよ」 ってね。

大人同士でも、 親子でもいくらでも語り合えちゃいます。
私も中3の息子とは、かなり熱く語り合っちゃいました。

第二章  「論理」だけでは世界が破綻する

第三章  自由、平等、民主主義を疑う

第四章  「情緒」と「形」の国、 日本

第五章  「武士道精神」の復活を

今の教育、学校、親のありかたについての考え方や、 「自由、平等、民主主義」というなんだか物事をごまかして言いくるめたような抽象的な表現について、 藤原さんにびしっと解説してもらえて、 すっきりしたし。

やっぱ日本人は「武士道」よねー!なんて思ったり。
うんうん、「国語」を大切にしましましょうよ、 本をたくさん読むことを薦めて子どもたちの「情緒」を育てましょうよ、と思ったり。

ちゃんと「世界史」も「日本史」も勉強しようよ。 中学高校でやらないで、いつやるのよ、ほんとにもう! ちゃんと高校でやったはずの私でさえ、あんまり身についてないんだから、 学校でやらなかったらなーんにもわからなくなっちゃうよっ。

なーんて私が口角沫飛ばしてあれこれ言ってみても誰も耳を傾けてはくれないから、藤原さんの口角沫飛ばしを聞いてみましょう(口角あわとばしっっ!てイキオイなんですよ)。

読んでみて反論したくなる部分もあるかもしれませんが、 それを誰かと論じ合うのもまた楽し。

そこらに置いておくとつい何度も何度も読んでしまう本です。


藤原正彦さんが「数学は美しい」とテレビで話しているのをみて、 小川洋子さんが 「博士の愛した数式」(clickで記事に飛びます) を書こうと思いついた、なんてちょっとイメージがどうしてもつながらないほど、 激しく自分の意見をがんがんおっしゃる人。

ベストセラー拒否症気味の私も、ああ、これははずさず読んでよかったーと思いました。
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2006年11月04日

11月4日物語U : かび


株式会社ヤサカ。 
小規模なこの八阪市の経済は、 傘下の関連会社や取引会社に限らず、 多くがヤサカの影響下にあるといってよかった。
平和な表現をすれば企業城下町ということだが、 ヤサカの支配地帯といえなくもない。
ヤサカのOLだった友希江はヤサカ研究部の技術社員だった文則と出会い結婚し、あれから10年。 
ささやかながら一戸建ても持ち、 女の子にも恵まれ、 いまでは幸せな専業主婦である・・・。
・・いっけん。

しかし、行き場のないストレス爆発寸前。

家には寝に帰るだけのような会社人間の夫(しかし過去には浮気もあり)が、仕事中に倒れた。
脳梗塞と診断され、 会社側は本人の自己管理(妻の夫管理)のせいもあるのだし、ハードな仕事だけが原因ではないから労災は申請しないでくれと言ってくる。
そしてどうやら、彼をリストラしようとまでしているようだ。

友希江は、そんな会社のやりくちに怒り心頭し、 株式会社ヤサカを相手にたった一人で立ち向かうのだ。

とっちめてやる!

というか、 (ずっと子供の頃からいい子)でいた友希江の溜まりに溜まったストレス大発散劇です。

やり方、めちゃくちゃ。

半身不随になりかけて病院で天井を眺めている夫に愛情があるわけでもなく、そんな夫は放っておいて、ひとりで行き当たりばったりのようないやがらせを会社側の人間にばしばし浴びせて 「あー、おもしろい!」 とけらけら笑ってます。

社長の一人娘の結婚をダメにしてやろうと、カミソリの刃や切り刻んだピンクのショーツを 〔アノヒトハワタシのオトコダ チカズクナ〕 なんて脅迫文とともに送りつけたり、 その娘の婚約者と憎たらしい別の女との婚姻届を偽造して出しちゃったり。
社長の愛人宅に忍び込んで、 ビタミン剤の中身を睡眠導入剤に変えたり、 水酸化ナトリウムを靴に入れて火傷させるとか。

やることがセコクて、しかも犯罪よ、それ。

(ずっと子供の頃からいい子)だった子が、 キレたとしてもそこまで人間、落ちるか!? というほどの変わりよう。

ちょっと、だれかこのおばちゃん、 とめてぇな。

そう、関西弁なんです。
もう、ノリがよくって、文章もおかしくって、呆れながらも読むのが
止まりまへん 止まりませんでした。

ラストではっきりしますが、 読んでいる途中でも、 この作者、 作中人物の誰にも愛情を注いでないとわかります。
登場人物に誰一人として、 共感を覚える気にもなれなかったという小説もめずらしいです。

たくさん笑わせておいて、 読後には 「いくらなんでもワタシはこんなお下品な人間ではないわよね」 と安心感を与えてくれる。
それが狙いなのかもしれません。  

オンライン書店ビーケーワン:かび

かび  山本 甲士著  2003.6  小学館


この表紙、触るのちょっと勇気がいります。
同じ作者で 「とげ」 というのもあります。

手元にあるので一ページ目をちらっと見ましたらいきなり関西弁で 
「そやさかい、 さっきも言うたやろがっ。 市の運動公園の金網が破れとって、 うちの子供がそのせいで手ぇ怪我したんやっ」。

また寝不足になりそうなのであわてて閉じました。
 「どろ」 というのもあるそうです。
次は 「さび」なんかどうでしょうか。
posted by tsukikohime at 02:21| Comment(0) | TrackBack(0) | やゆよ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年11月01日

11月1日物語U : 華恵

オンライン書店ビーケーワン:本を読むわたし

本を読むわたし 華恵著 2006.7 筑摩書房



前回は少し先の未来をあれこれ想像して、空が落ちてくるのか、花が降ってくるのかなんてことを案じてたりしてましたが、少し気分を若返らせてみましょう、と手に取った一冊。

著者は1991年生まれの15歳の女の子、華恵(はなえ)。 
いっきに若くなりました。

華恵は10歳からモデルをし、 12歳で女優デビュー。
2003年には 『小学生日記』 を刊行し、 よしもとばなな、 重松清、 石田衣良などから高く評価されるほどの文章力です。

この本は、 ただの読書感想文ではありません。 
4歳から14歳までに出会った思い出の本、というよりもその本を見るとたくさんの思いが甦ってきてしまう本たちのことを書いています。

父がアメリカ人、母が日本人のミックス(ハーフではなく、ミックスという言い方を華恵はお兄さんから教わってとても気に入ってます) の華恵は両親が離婚する6歳まではニューヨークに住んでいました。 
ニューヨークで育ったプレスクール時代。 
ニューオーリンズで初めて会ったグランマ。
両親が離婚した6歳の夏。
母の実家のある福島県の祖父母との会話。
石田衣良原作のドラマに出演したときのこと。
日本の小学校での友達。
中学受験の塾で知り合った友人やそのお父さん。
気になる山下くんのこと。
 
さまざまな人種や宗教観や世代や環境の中で育ち、 自分というものと他者というもの、そこに生まれる人間関係やそれぞれの感情などをとても冷静に見つめ、 考え戸惑い不思議に思って生きてきたからこそ、 豊かな情緒が育ったのだと思います。
そして華恵のそばにはいつも本があり、 それらは幼いころからずっと華恵を支え、 さらに彼女を情緒豊かに育てたようです。

文章力もさることながら、 豊かな感受性、素直な思いや言葉に、 わたしは感動。
15歳の華恵の書いたものを、 どれどれどんなもんかな、なんて少し高いところから見るような気持ちで読み始めたわたしはちょっと恥ずかしくなりました。
 
posted by tsukikohime at 09:54| Comment(4) | TrackBack(1) | はひふへほ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする