「日本一醜い親への手紙」
冗談みたいなタイトルですよね。
「日本一短い母への手紙」 のような本は何種類か似たようなものは本屋で見かけたことはあったのですが。
帯に 「あなたは今でも知らないはずだけど、 僕は金属バットを持ってあなたの枕元に立ったことがあるのです」 という文章が出ていて、 これは、なにかパロディのようなおふざけ本かなと思って手に取って開いて読み出したら止まらなくなってしまい、105円(ブックオフで)だったしそのまま買ってきました。

日本一醜い親への手紙 Create Media編 1997.11 メディアワークス
9歳から81歳のこどもたち100人からその親への手紙100通です。
2行だけのものもあるし、 長いのもある。
100編の短篇物語みたいでした。 しかしフィクションではないのです。
10代、20代、30代、40代・・80代。
いくつになっても、 その親の前ではその人たちはその親の子であり、 子が親から受けた悲しみや怒りは時が経っても消えないんですね。
一番愛してもらいたかった人に愛してもらえなかったどころか、精神的苦痛や肉体的苦痛を与えられ、 「この世に生を与えてくれた親を悪く言うなんて」 という幸せに育った人々からの非難の目に傷つき、 「こんなに親から酷い仕打ちをされるのは、 自分が本当に悪い子だからだ」 と自分を責めてきた人々の、 ついに吐き出すことが出来た言葉。
寄せられた手紙の8割が女性からで、 その中には性的虐待を親や兄弟から受けた人が多かったのは、 少々驚きました。
この本に悪趣味のイメージがつかないように、 本書の趣旨を誰よりも理解してくれると思われた3人の著名人に、 集まった手紙を読んでもらい感想文を書いていただいた、とあとがきにかえて書いてあるが、 その3人は、 信田さよ子(臨床心理士で、著書に「アダルトチルドレン完全理解」)、 町田康(作家、「くっすん大黒」「告白」「浄土」など)、 林葉直子(棋士、作家)。
ひょんなところで、 大好きな町田康さんの文章が読めて嬉しかった。 つい言いくるめられてしまうノリの良い文章です。
さて、 これを募集したところ予想をはるかに超える何千通もの反響があったそうで、 この本の最後に第2弾のための原稿募集のお知らせが載っていました。
ただし、 これは1997年の発行ですので、 それらの原稿はもう集まっていて
「もう家には帰らない さよなら日本一醜い親への手紙」 と 虐待してしまった親が書いた「子どもを愛せない親からの手紙 」の2冊となってすでに出版されています。
書くという行為自体も、また本になったことによっても、 親に苦しめられたことや、 親を憎まなくてはならない理不尽な怒りや、 親を大切にしなくてならないという世間の常識への罪悪感など2重3重の苦しさを持った人々が大勢居るということを知ることができて、ずいぶん気持ちがラクになったのではないでしょうか。
私はこの企画は素晴らしいと思いました。





