止まらない。 500ページ以上あるぞ。 睡眠なんてどうでもいい。

サウスバウンド 奥田 英朗 2005.6 角川書店
語り手は小学6年生の上原二郎。
読み始め、思春期に差し掛かった少年の成長譚なのかなと思った。 描写もセリフも活き活きとしていてそれだけでも読ませる奥田英朗だけれども、この長さにはきっとわけがある、絶対どこかで引きずり込まれるぞ。
ほらほら現れた、破天荒な元過激派という父親・一郎が登場。
おもしろくなりそうなんてもんじゃない。 また寝かせてもらえなかった。
年金も税金も払わなくていい。 租税のおこぼれで生きている体制に雇われた官は虫より嫌いだ。 学校も行かなくていい。 学校なんて、 体制側にとって都合のいい人間を作るための催眠術みたいなものなんだ。 いつの時代も学校は矯正施設だ。 と、独自の論理を展開し、 修学旅行費が高い、費用明細を全保護者に対して明らかにしろと息子の通う小学校に怒鳴り込む。
学校が大好きな二郎にとってはいい迷惑だ。 気になる女の子もいるし、友達と遊ぶのも大好きだし、 不良中学生には脅されるし、 子供世界の中の複雑な人間関係だけでも精一杯だというのに、 余計な問題を起こす父親に二郎はうんざりしている。
第一部は東京・中野での生活の話で、 第二部は沖縄での生活の話になるのだが、そこでもこの父親は派手な問題を次々に起こしていく。
住民や環境保護団体、警察、マスコミなどを巻き込み、 日本中のテレビの前の野次馬的視聴者を楽しませることになる。
東京に居たときと明らかに違うのは、 近隣の住人との関係だ。
澄んだ海と青い空、大らかな島民たちの中で、 一郎は水を得た魚のように活き活きと動き出す。
最初、冷ややかな目で見ていた二郎なのに、いくつもの出来事を通して次第に父親の男として、人間としての魅力に惹かれだしていき、 父親を誇りに思うようになる。 そして読者である私もじゅわじゅわと一郎に惚れこんでいってしまった。
奥田英朗の長篇はたいがいそうなのだが、話が進むにつれ登場人物のキャラがどんどん際立ってきて、作者自身にも止められないんじゃないかというほどに活き活きと動き出し、その魅力を振りまく。
どうやってこんな魅力的なキャラを作り上げてしまうのだろう。
奥田英朗の本は寝かせてくれない。 気をつけてください。





















