コピーライターという仕事は消費者の心を掴む言葉を考え出すのが仕事だから(それ以前にクライアントの心を掴まなくてはならないが)、コピーライター出身の作家はこれほど読者を惹きつけて掴んで離さないのかしら。
「言葉を駆使してなんぼ」の世界で鍛えられたからだろうか。
奥田英朗もコピーライターだったが、荻原浩もそうだった。 林真理子も。
ただ林真理子の作品は以前にここに書いた 長ネギが出てくる話で嫌悪感を抱いてしまったためそれ以来読んでいないのでよくわからない。
あれはなんだっけ。 えーと 「白いネギ」という短編だ。 うっ、思い出してしまった。
林真理子も上手いらしい。
ほとぼりが冷めたらまたチャレンジしてみるかも。 いつほとぼりが冷めるだろうか。
もちろん、すぐれたコピーライターが全てすぐれた作家になれるわけではないけれど。
奥田英朗にも荻原浩にも感じられるのは、人間に対する暖かさや優しさだ。 弱者に対する優しい目。 強い人の中の弱い部分もきちんと嗅ぎわけられる嗅覚。
ちょっと古い本だけれども(もう9年になるのかー)また読み直して荻原浩って、最初からうまかったのねーとあらためて感心したので書きます。
オロロ畑でつかまえては、荻原浩がまだ現役のコピーライターをやっていた時に書いたもの。
オロロ畑でつかまえてで第10回小説すばる新人賞 (1997年度) を受賞してデビューし、脚光を浴び、そのあとも順調に作品を出し順調に売れていたのに、驚いた事にコピーライターの仕事を6年位続けていたそうだ。
作家だけでは食べていけなかったからだそう。
作家ってひとつふたつ賞を取ったくらいでは食べていけないのね。 大変なのね。
賞を取って少し売れ出したからといって 「僕は作家だ」とすぐにもとの仕事を放り出さないところが堅実だと思う。 そんなことしてつまらないエッセイで食いつなごうとしなかったあたり。
そんなふうに小説でデビューしたのにいつのまにかエッセイストやコラムニストになってしまって 「え、あの人、昔、小説書いてたの?」 なんて言われてるような人もいるし。
オロロ畑でつかまえてはユーモア小説だ。
ドタバタ劇で笑わせつつ、ちょこっと風刺も織り交ぜて、人情話でほろりとさせて、憎たらしい悪役をぎゃふんと言わせて、さわやかに終わる。
ユーモア小説の典型的なパターンだが、まったく飽きさせずに、新人だなんて忘れてしまったくらい安心して楽しめました。
ジェットコースターを降りたあとしばらく笑い顔がおさまらないような気分に似て 「娯楽したー」 という読後感でした。
どんなストーリーだったかは書きません。
選評者の井上ひさし氏のことばだけを紹介します。
「文章は軽妙にしてユーモアに満ち、話は風刺の力にあふれて爽快であり近ごろ稀(まれ)な快作である。 こういう作品に余計な選評は不要、 とにかくお読みになって、 読者それぞれの立場でたのしんでいただければよい」
オロロ畑でつかまえて 荻原 浩著 集英社 1998.1










